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しぶとく

野菜の本気を引き出す、尚美さんの料理の世界。深く掘っていくポイント、視点の置き所がおもしろい。食事をいただきながら、作り手の人とゆっくり話せる機会は、意外とほかにあまりない気がする。作り手の人をゆっくり時間を掛けて知っていくことで、そこにある食事なら食事という表現への親しみ・理解・信頼が養われていくような気がする。何度も通いたくなるのは、ただ食べに行くだけではなく、作り手と表現が生み出す世界や視点を知っていくことが、嬉しく、楽しいという純粋な思いが根底に流れている。そして、行く度に「身体をもっていることがありがたい」と感じる場所でもある。

数学の探究も、しぶとく、粘り強く、天へ向かって放ち続ける。世間ウケするもの、売れるものを目指さない。自明なものではなく、本質を深く掘り下げていくものを。地道な積み重ねから、文化はできていく。成果や評価に身を預けないこと、自己観察を欠かさずに、淡々と、自然界の声をよく聴くこと。自然界はみんな、しぶとい。何度だって枯れてはまた咲く。自我はなく、天へ向かって生命の息吹を放ち続けている。ぼくもそんな風に、この人生をしぶとく、清らかなるままに、生きて行きたいと願う。きっと、できるさ。

尚美さんのお店・サルーテ

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