参考図書のご紹介 第1回ピーター・F・ドラッカー『マネジメント[エッセンシャル版]』(ダイヤモンド社、2001年) 2016年

参考図書の紹介記事から

あるところで、研修のための参考図書の紹介を書いていました。その時の紹介記事を再掲していきます。

参考図書のご紹介 第1回
ピーター・F・ドラッカー『マネジメント[エッセンシャル版]』(ダイヤモンド社、2001年)

マネジメントの発明者である、ドラッカーの大著「マネジメント」の概要版です。概要版でも、十分マネジメントについて深く学ぶことができ、示唆に富む言葉も満載です。

目次の構成は以下のようになっています。

Part1 マネジメントの使命
第1章 企業の成果
第2章 公的機関の成果
第3章 仕事と人間
第4章 社会的責任

Part2 マネジメントの方法
第5章 マネジャー
第6章 マネジメントの技能
第7章 マネジメントの組織

Part3 マネジメントの戦略
第8章 トップマネジメント
第9章 マネジメントの戦略

ドラッカーは、企業だけではなく、公的機関にもマネジメントは必要だと、強く説いています。この公的機関のマネジメントにふれた部分が「第2章 公的機関の成果」です。ここには、公的機関が必要とする6つの規律について書かれています。

あらゆる公的機関が自らに課すべき6つの規律とは、事業の定義、目標の設定、活動の優先順位、成果の尺度、成果の評価、活動の廃棄です。

詳しくは、以下のように書かれています。

第一に、自らの事業を定義することである。「事業は何か」「何であるべきか」を定義する。ありうる定義をすべて公にし、それらを徹底的に検討する。

第二に、その定義に従い、明確な目標を設定することである。成果を上げるには、活動に直結する目標が必要である。目標がなければ活動のしようがない。

第三に、活動に優先順位をつけることである。同時に、期限を明らかにし、担当する部署を決めることである。

第四に、成果の尺度を明らかにすることである。尺度がなくては、せっかくの事業の定義や目標も、絵空事に終わる。

第五に、その尺度を使って成果のフィードバックを行なうことである。全組織が成果による自己目標管理を行なわなければならない。

第六に、事業の定義に合わなくなった目標、無効になった優先順位、意味の失われた尺度を廃棄することである。不十分な成果に資金とエネルギーを投入し続けることのないよう、非生産的なものすべてを廃棄するシステムを持つ。

第6の、非生産的なものすべてを廃棄するシステムを持つことが、非営利組織では難しく、多くの組織で忙しさの原因となっています。

民間企業と比較して、事業の廃棄は困難性を極めます。それは、事業廃棄の明確な基準が設定しにくいためです。民間企業は非生産的な事業を特定しやすく、廃棄もさほど困難ではありません。非生産的な事業を継続し続けると、顧客からそっぽを向かれてしまい、組織の存続にも影響していきます。

しかし非営利組織の事業は、廃棄対象の事業を特定することが容易ではありません。絶対的な廃棄の基準がないからです。どの事業も、必ず誰かの、何かのためにはなっています。ですから廃棄を推進するには、相対的に判断し、廃棄していくしかありません。

ドラッカーは以下のように述べています。

行政組織は社会の中核的な存在である。しかもコストのかかる存在である。したがって、行政組織の目標と成果については監査が不可欠である。いまやわれわれは、あらゆる政策、法律、計画について、「目的は現実的か、達成可能か、それとも言葉だけか。ニーズに応えているか」「目標は正しいか。優先順位は検討しているか。成果は公約や期待に合致しているか」を問わなければならない。

そしてこう結びます。

公的機関に必要なことは、企業の真似ではない。もちろん成果に対して評価することは必要である。だがそれらのものは、何よりも病院らしく、行政組織らしく、政府らしくなければならない。自らに特有の使命、目的、機能などについて、徹底的に検討しなければならない。

民間企業の模倣ではない、非営利組織である地方自治体独自のマネジメントをする必要があります。もちろん民間の良い部分は模倣します。しかし民間企業と地方自治体はそもそも違う組織体ですから、マネジメントも当然異なります。

民間優位のマネジメント論がよく見受けられますが、マネジメントの発明者であるドラッカーは、民間企業と非営利組織のマネジメントは違うと明言しています。

企業の事例も多い本書ですが、非営利組織に属している方々にもとても役立ちます。一読をお勧めいたします。

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