第5回目の参考図書のご紹介は、小笹芳央『変化を生み出すモチベーション・マネジメント』(PHPビジネス新書、2011年) 2016年

参考図書の紹介記事から

あるところで、研修のための参考図書の紹介を書いていました。その時の紹介記事を再掲していきます。

第5回目の参考図書のご紹介は、
小笹芳央『変化を生み出すモチベーション・マネジメント』(PHPビジネス新書、2011年)

モチベーションをどのように維持するか、向上させるかについて書かれている、モチベーション・マネジメントの書です。新書版ですが、具体的な手法が、事例も豊富に解説されています。

私たちを取巻く外部環境は、目まぐるしく変化しています。しかし自らは変化を好まず、変化することを拒む人々も、少なからず存在します。今までのままで良い(現状維持)、面倒くさい(仕事が増える)、変化は痛みを伴う(傷つきたくない)、自己保身(自分を守りたい)、必ず良くなるとは限らない、といったような考え方です。

しかし、変化を無視し、変化に対して二の足を踏むことは死を意味すると、本書は説きます。そして、モチベーション高く変化に挑むことができたなら、どんな時代も軽々と生き抜いてゆけると言います。

本書では、変化を生み出すモチベーション・マネジメントの方法を、状況を「アンフリーズ=解凍」し、「チェンジ=変化」させ、新たな行動が正しいと認識させる「リフリーズ=再凍結」する3つの段階に分け、部下や後輩を生き生きと変化させ、組織を変革する方法論をわかりやすく解説しています。

本書の目次構成は以下のようになっています。

第1章 変化を生み出すモチベーション・マネジメント
第2章 Unfreeze/現状の確信に揺らぎを与える
第3章 Change/変化に導いて、新しい行動を引き出す
第4章 Refreeze/新たな行動が正しいと確信させる
第5章 ある若手の物語
終章 リンクアンドモチベーションでの実践例

本書には、さまざまなモチベーション・マネジメントの具体的な方法が書かれています。そのうちのいくつかをご紹介します。

➢ ロングレンジ効果
3年~5年後どうしていたいか、どうなっていたいかを考えてみます。目の前の事柄だけに捉われるのではなく、自分がどうなりたいか、どうありたいかを、少し長いスパンで考えてみます。その上で、現在自分が関わっていることが、将来的に何か意義を持つことはないのか考えてみるのです。

➢ ショートレンジ効果
今この瞬間、この目の前の仕事に集中します。ロングレンジとは逆になりますが、目の前の目標や、すべきことに集中するのです。先を見すぎず、起こっていないことを心配することは止めます。不確定な遠い先のことを思い悩んでしまうと、憂鬱を生み出してしまい、変化や挑戦の意欲を失ってしまいます。

➢ タイムマシン効果
過去や未来を自由に行き来し、過去の自分に恥じないようにします。また、未来の自分から今の自分を見てみるのも良いでしょう。今の仕事についたときの気持ちはどのようなものだったのか、忘れてしまってはいないか、学校時代の卒業文集に書いた夢に恥じない自分になっているだろうかなど、過去化から現在を見てみるのも良いでしょう。

➢ ズームアウト効果
広い視点に立ってみます。今直面している現状だけを近視眼的に見るのではなく、大局的に物事をとらえ俯瞰してみます。目の前の人、目の前の仕事だけが全てではありません。

➢ ズームイン効果
一つのことをやり遂げることで、他の自信につながります。目移りせず、いろいろ考えずに、とにかく目の前のことに取り組みます。これだけは絶対に負けないというものを持ち、実行します。誰よりも朝早く職場に来る、これだけでも良いのです。一つのことに集中し、自信をつけていきます。

➢ ロールプレイング効果
自分の立場ではなく、自分と関わる相手の立場に立って考えてみます。日頃の役割を変えて、修正行動を促します。自分が自分の顧客だったら、自分の上司だったら、自分の部下だったら、と考えます。立場を変えてみることで、自らのモチベーションに影響を与えていきます。

このような具体的なモチベーション・マネジメントの方法が、事例とともに豊富に紹介されています。自らのモチベーション向上のために、部下や後輩のモチベーション向上のためにも、一読をお勧めします。

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