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創業28周年のご挨拶 - 追悼:柏木博先生 -

お世話になっている皆様

拝啓 寒冷の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てにあずかり厚く御礼申し上げます。
さて弊社は、令和4年1月17日をもちまして、創立28周年を迎える運びとなりました。これもひとえに皆様方の厚いご支援と温かい激励の賜でございます。ここに心よりの感謝を申し上げます。
これを機に、いま一度創業の精神に立ちかえり、より一層皆様と共に向上に努めてまいります。
今後とも倍旧のお引き立てを賜りますようよろしくお願い申し上げます。
                                敬具

株式会社黒木マーケティング室
黒木陽一

私信として

28歳と聞くとどんな姿をイメージするでしょうか。仮に私たちの寿命が85歳だと仮定すると、すでに人生の3分の1が過ぎ、残されている時間は3分の2、そんな風にも捉えることができるかもしれません。

それだけ28年という月日は長いもの。28年前にスマートフォン、いや携帯電話というは存在は全く身近にはなかったし、そもそもインターネットなんてここまで普及されていませんでした。東日本大震災、食品偽装といった天災も人災も起きてなく、会社ではみんなデスクでタバコを吸っていて、なんとなくバブルの余韻ある中でまだ日本が元気だった。28年という時間では、どんなことでも起こりうる。言い換えれば、28年とはあらゆる可能性を秘めている期間だとも言えるでしょう。これは前回お伝えした16年然りだとすると至極当然と言えるかもしれません。

改めてお伝えします。弊社は本日で創業28年となりました。
常に刺激と励ましをいただきました生活者の方々、クライアントの皆様、会社で共に考えながら苦楽を共にした弊社メンバー、株主様、大学機関などの研究者の諸先生方、広告代理店・リサーチ・デザイナー・建築設計・IT関係者、友人・同僚、家族の方々に支えられて参りました。この場を借りまして深く感謝申し上げます。

柏木博先生

そして本日はさらに弊社に知恵を与え長年私の支えとなっていただいた武蔵野美術大学名誉教授・美術評論家の柏木博先生のことを記したいと思います。

柏木先生

柏木先生は、昨年12月13日に75歳で他界されました。博報堂在籍時代からのお付き合いですから、30年以上さまざまな視点でご教示いただいたことが思い出されます。生活者、時代、社会の見方をお教えいただきました。また家具や家電分野のみならず、広告、都市を対象にした時代を見据えた切り込み具合いは、その後の私に大きな影響を与えたと思います。独立後、先生とクライアント向けに講演させていただいたこと、今振り返ると身が締まるほどのありがたい機会でもありました。

こうして思い出すと弊社にいらしてくださった際に、社内をゆっくりとご覧になって「黒木そのものですね」とお笑いになったこと、なかでもプラハにて購入した絵画を感慨深くご覧になっていたこともありました。亡き成瀬すみれ先生とのご縁があり"料理教室とマーケティングをコラボしている"と柏木先生に申し上げると「マーケティングと料理なんていいですねぇ」と喜んでくれたこと、、、こうして今、ちょっと感傷的にもなってしまう私を自覚しています。そうなんです、確かに先生のデザイン論は、私の至るところに影響を与えていただいたのです。

"柏木先生、そちらの世界でも楽しんで過ごされていますか?
「家事の政治学」(岩波現代文庫)をあれから、懐かしんで読み直しています。ご冥福をお祈りいたします。ありがとうございました。"

最後に

多くの方に支えられた28年を過ごしてきました。今日はそんなことを改めて振り返りそして噛み締めて、これから先に起きうる刺激ある日々に思いを馳せたいと思います。時代の変化に合わせながら、甘んじることなく自分も真摯に変化していきたいと...。
皆様、これからもよろしくお願いいたします。

黒木陽一