見出し画像

VOL.13寄稿者&作品紹介23 谷亜ヒロコさん

最近は谷麻由里さんの新曲『今宵PartyParty』、佐藤康恵さんの『ヘテロパナックス』などが作詞家の作品としてリリースされた谷亜ヒロコさん。佐藤康恵さんとはずいぶん長いおつきあいのようで、谷亜さんがこれまでのことをnoteにまとめています。そんな谷亜さんの、ウィッチンケア第13号への寄稿作は「ホス狂いと育児がほぼ同じだった件」。谷亜さん、近年は女子「SPA!」や「テレ東+」での取材などもおこなっていまして、そういえば今年1月、SNSで『ホス狂い』(鉄人社)の著者・大泉りかさんへのインタビュー記事を紹介していたなぁ、と。なかなかディープな世界の話ですが、ご自身の育児体験とホス狂いの共通点を結びつけながら世情を分析するこの一篇、意外と辛口な谷亜さんの一面が窺えて興味深かったです。...そういえば谷亜さん、かつて原稿の打ち合わせをしていたときの雑談で私(発行人)が「ウチの母親が昼間はメグミとかミヤネのテレビを付けてて、耳が遠いもんだからうるさくて...」と愚痴ったら、「人のテレビの嗜好に意見しちゃダメ」と、ピシッと言われまして。そう、谷亜さん。いつも人当たりは温和ですがピシッとしてるんです、ピシッ。

育児とホス狂い。このふたつとも未体験の私は、とにかく谷亜さんの考察に沿って興味深く読みました。《ホス狂いの口癖は「担当のために頑張る」だ》...mmm、これはいま世に言われる“推し活”の変種のようなものなのだろうか(私は推しナシ、敢えて言えば小誌寄稿者全員推し)。「本営」「担当」「育て」といったその世界の専門用語があるようで、それをここで説明しちゃうよりは、谷亜さんの作品を読んでもらったほうが、私には好ましい展開であります。とにかく、どうやらホストとお客さんの関係は《ホストクラブ内で完結するものではな》いらしく、よい社会勉強になりました。

育児についても谷亜さんによる独自の指摘が刺激的でした。《最近の若い女の子は体を売りがちだが、男の子は放っておくと、引きこもりになる傾向がある。女の子については佐々木チワワ氏の本でも読んでもらうとして、うちの息子も高校生ぐらいから引きこもりがちになってしまった》。佐々木チワワさん、本稿で初めて知った名前ですが、「男子は引きこもり傾向」というのは、なんとなく頷ける。私がまさにこれでして、若いころは「レコード屋に出かける」くらいしか外出の理由がなかったかも。いまみたいにネットで情報が拾えてサブスクで音楽が聴けるなら、きっともっと籠もってた。でっ、作品の終盤は谷亜さんのご子息への愛が感じられるお話なんですが、ちょっと後日談を披露。無事旅立たれた、とのことです!

 時間だけではない。お金も徐々に課金されていくシステムだ。両者ともに最初はそんなにお金がかからない。赤ちゃんのうちは、医療費も無料期間があり、オムツなどの雑費ぐらいなもの。インターナショナルスクールに入れたり、派手な洋服や習い事をしない限り、たいしたことはない。ホストも初回料金は2〜3000円ぐらいだが、ホストクラブ独特の『育て』という営業方法によって、ホス狂いに金を貢がせる。「今回だけ俺のために頑張ってくれないか?」と言って、10万円もするシャンパンを入れさせても今回限りなんてことはなく、誕生日だとかなんだか上手いこと言って100万円以上もかかるシャンパンタワーまで持っていく。こうなると、ホス狂いは昼職だけじゃ金が足りなくなり、風俗やパパ活で稼がなくてはならず、ハマるとお金を使ったほうが絶対楽しいし、使う楽しみを一度知ってしまうと、もう元には戻れない。

〜ウィッチンケア第13号掲載「ホス狂いと育児がほぼ同じだった件」より引用〜


谷亜ヒロコさん小誌バックナンバー掲載作品:〈今どきのオトコノコ〉(第5号&《note版ウィッチンケア文庫》)/〈よくテレビに出ていた私がAV女優になった理由〉(第6号)/〈夢は、OL〜カリスマドットコムに憧れて〜〉(第7号)/〈捨てられない女〉(第8号)/〈冬でもフラペチーノ〉(第9号)/〈ウラジオストクと養命酒〉(第10号)/〈鷺沼と宮前平へブギー・バック〉(第11号)/〈テレビくんありがとうさようなら〉(第12号)

※ウィッチンケア第13号は下記のリアル&ネット書店でお求めください!

【最新の媒体概要が下記で確認できます】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?