多田洋一
VOL.12寄稿者&作品紹介41 谷亜ヒロコさん
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VOL.12寄稿者&作品紹介41 谷亜ヒロコさん

多田洋一

谷亜ヒロコさんの今号への寄稿作は「テレビくんありがとうさようなら」。 朝井麻由美さんに続きまたもやテレビ絡みの話になりますが、もう引導渡しちゃってるところが、谷亜さんらしいサバサバしさ(!?)。NHK放送文化研究所が実施した「2020年 国民生活時間調査」によると16~19歳の約半分が「ほぼテレビを見ない」らしく、私の乏しい人生経験に照らし合わせても、たとえば携帯電話が普及し始めた時期、当時の人はなんとなく「家庭(世帯)の固定電話との併用なんじゃないの」と思っていたと思うし、CD(というか、デジタル音源)が出始めたころだって、「フィジカルなメディアはいらない」までには思いが至らなかったと思うのです。いまテレビを見ている人って、おそらく電話とレコード(CDを含む記録媒体)の末路をリアルタイムに知っているはずなんだけれども、でも長年の視聴習慣に引き摺られているだけで、じつはもう、既存の放送局のタイムスケジュールにこちらのほうから生活を合わせてあげるの、かなりキツくなっているはずで、あとは電話→iPhone/音楽再生手段→iPod〜ストリーミング、みたいなイノベーションが...もう私には起こっちゃった、というのが今号の谷亜さんの一篇なんですよね。スイマセン、長々とつまらん講釈垂れまして。

かつてのテレビっ子(谷亜さん)がいまやすっかりYouTube視聴者へ。少しまえまでテレビとは「友達との会話の糸口」だった、と谷亜さんは書いています。でも最近は“「8時だヨ!全員集合」での細かい話、山口百恵は良かったなど、知らんがな、もう芸能界いないわよ、そんな語り尽くされた話には、興味がない。”とも。心当たりがありまして、あのぅ、むかしいた会社の同期会とかって、相互に現時点の情報がないから、その話をすれば有意義だったりもするのでしょうが、ついつい共通の昔話になって「なんか、いっつも同じ話してるな」みたいな。あと、私は20代後半で気づきましたが「懐かしい」は、飽きる。新たな「懐かしい」を頑張って掘り起こす、あるいは自分が発見していない「懐かしい」を知ってる人と交流しないと、テレビの「懐かしアニメベスト」みたいなのの餌食になってCM刷り込まれるだけ。

ほぼテレビ話の本作に少し挟まれている、谷亜さんの御父様のこと。お原稿を受け取ったときにはちょっと心が震えましたが、しかしこれも筆者の「書き手としてのスタンス」なのだと理解しました。表題の「ありがとう」はテレビだけに係っているんじゃないのかもなぁ、なんて思ったりも...でした。

 昔からテレビが大好きだった。最初の記憶は、五歳の頃、朝八時十五分から始まる朝ドラが見たくて、幼稚園に行きたくないと泣いた。学生最後という大事な高校卒業式の日も「笑っていいとも!」のゲスト本田恭章が気になりすぎて、友達の誘いを断って速攻帰ってきた。しかし私は特に本田恭章が特に好きなわけではない。「いいとも」という超マスなメジャーの場で、本田恭章がどれだけアウェイ感を醸し出すのかが見たかっただけ。テレビドラマの第一回目は全て録画して見て、そのうちの半分ぐらいは見て最後まで視聴した。朝だけじゃなく、帰宅してもまずはテレビを見ていた。

〜ウィッチンケア第12号〈テレビくんありがとうさようなら〉(P232〜P234)より引用〜

谷亜ヒロコさん小誌バックナンバー掲載作品:〈今どきのオトコノコ〉(第5号&《note版ウィッチンケア文庫》)/〈よくテレビに出ていた私がAV女優になった理由〉(第6号)/〈夢は、OL〜カリスマドットコムに憧れて〜〉(第7号)/〈捨てられない女〉(第8号)/〈冬でもフラペチーノ〉(第9号)/〈ウラジオストクと養命酒〉(第10号)/〈鷺沼と宮前平へブギー・バック〉(第11号)

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多田洋一
文芸創作誌「Witchenkare」(ウィッチンケア)発行人。東京都町田市在住。 フリーランスのライター/エディター。