見出し画像

VOL.13寄稿者&作品紹介21 小川たまかさん

前号(第12号)には「女優じゃない人生を生きている」という小説を寄稿してくださった小川たまかさん。GW明けの5月12日には新刊『たまたま生まれてフィメール』(平凡社)が発行予定です。いまはもうアマゾン等でも表紙が掲載されていますが、私は最初、たしかSNSで拝見した記憶が...昨年2月に上梓された『告発と呼ばれるものの周辺で』もインパクトのある絵柄でしたが、今回もまた強烈な印象を残す...とにかく、黄色いぞ(読むのが楽しみです)! それで、そんな小川さんのウィッチンケア第13号への寄稿作は「別の理由」と題されたエッセイ。作品前半では、新たに暮らし始めた京都での生活、というか「私の部屋が寒い!」について、かなりガッチリと記されています。読んでいるこちらまで冷え込んできそうな、綿密な原因探求。私(発行人)もかつて京野菜の取材で2月にいったことがあるけれど、あの納屋みたいな場所でのじんじん身に染みこむ感じの寒さ、忘れられない。ちなみに私、11月末の網走の冷凍食品工場、1月の余市のウヰスキー蒸留所なんてのも取材したことありますが、あそこまで極寒いと逆に「構え」みたいなものが身体にできてしまうのか、けっこう耐えられた。京都のあのじんじん(しんしん、ではない)は、やばいと思います。

作品の後半では、小川さんが京都に引っ越した理由が語られます。《インターネットが嫌で、東京から京都に引っ越したのである。もっと正確に言えばツイッターが嫌で、かもしれない》。えっ!? ネット空間のSNSで、東京とか京都とか、どんな関係が? と読み進めると...そんなことがあったのですね。デリケートな内容だし、きっと本作では「書けないこと」もたくさんあったはずなので、発行人の私としては、とにかく表題が体現している事柄について書いてくださったことに「ありがとうございます」と言うことしか...そもそも、知り合ったころは下北沢の情報誌編集長、その後もコロナ禍以前の原稿打ち合わせではシモキタでお目にかかっていた小川さんが京都に転居と(これもSNSで)知って、なんでまた京都に、と思いつつ聞けないままだったので。最後まで読んで、あらためて作中の《「わかります、ツイッターは東京です」ときっぱり言った》の箇所、その友人の言葉の意味するところがわかったような気がします。

それにしても最近のツイッターは...そもそも私はWitchenkare関連の告知と、ときどき気になるツイートの備忘♡orRTにしか使っていませんが、なんかつい最近も、親しい人が鍵かけちゃって。小川さんの体験談を読んだだけでも、実生活と「ネットに書き込むこと」との距離感が、人によって絶望的に違うんだということがわかりました...って、いまネットに歯切れの悪い文章を書き込んでいるんですけれども。少なくとも相手に面と向かってアウトプットできない類いの言葉(と言葉の使い道)は、たとえそれが自身では“正義のため”と語れるものであっても、「消えない場所」に持ち出していいかどうかは、ねえ。

 3年前、使っていたツイッターアカウントが突然凍結した。その直前には、パスワードリセットのための確認メールが10通連続で届いた。そういう嫌がらせの方法があるのである。
 私を凍結させた人は、私がツイッター上にアップしていた何枚かの画像を勝手に画像投稿サイトにアップし、ツイッター社に「これは自分が画像投稿サイトにアップしている画像であるのに、小川たまかという人がパクった」と虚偽の「著作権侵害通報(DMCA通報)」を行ったのである。
  仮にXとしよう。Xが画像をネット上を投稿したのは私より後なのだから、普通に考えれば虚偽だとわかる。けれど当時のツイッター社の方針では、虚偽であっても関係なく著作権侵害通報があった場合は即凍結、だった。


〜ウィッチンケア第13号掲載「別の理由」より引用〜

小川たまかさん小誌バックナンバー掲載作品:〈シモキタウサギ〉(第4号)/〈三軒茶屋 10 years after〉(第5号)/〈南の島のカップル〉(第6号)/〈夜明けに見る星、その行方〉(第7号&《note版ウィッチンケア文庫》)/〈強姦用クローンの話〉(第8号)/〈寡黙な二人〉(第9号)/〈心をふさぐ〉(第10号)/〈トナカイと森の話〉(第11号)/〈女優じゃない人生を生きている〉(第12号)

※ウィッチンケア第13号は下記のリアル&ネット書店でお求めください!

【最新の媒体概要が下記で確認できます】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?