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VOL.13寄稿者&作品紹介14 柳瀬博一さん

2020年11月の発行以来ロングセラーとなっている柳瀬博一さんの著書『国道16号線: 「日本」を創った道』。先月文庫化され、より充実した内容となって日本国中の本屋さんを席巻中です。コロナ禍で進化した16号線の新しい動き、物流、経済、文化について加筆され、新たに「まほろ駅前多田便利軒」の三浦しをんさんによる解説も。三浦さん、私(発行人・多田洋一)と同じく16号線圏・東京都町田市にルーツを持つかたですが、お目にかかったさいに伺ったら、なんと、使用するカナチュー(神奈川中央交通)のバス停まで一緒だったのでびっくり! ...それはともかく、『国道16号線: 「日本」を創った道』という本が生まれるきっかけにウィッチンケアがささやかに関われたこと、いまでも光栄に感じております。版元である新潮社のサイトに行くと、『「16号線エリア」の地形がすごい建築を生んできた!』という柳瀬さんと隈研吾さんの刊行記念対談も読めますので、みなさまぜひアクセスしてみてください。

そんな柳瀬さんの第13号への寄稿作は「カワセミ都市トーキョー 序論」。ちなみに柳瀬さんの初寄稿作(Witchenkare Vol.5)のタイトルは「16号線は日本人である。序論」(...これは近い将来、カワセミを介した都市論/東京論のような本を上梓するための、予告なのでしょうか?)。コロナ禍の2021年4月のある日、山手線の内側の《殿様の苗字のついた庭園の脇の誰もが知る都市河川沿いの道》を散歩していた柳瀬さんはコバルトブルーの鳥を発見します。カワセミ。じつは拙宅のすぐ脇を流れる恩田川でも近年見かけるようになったのですが、そうか、山手線の内側でも、散歩のおりに出会うほど増えているのか〜。でっ、こういうとき「わっ、きれいでかわいい」で終わらないのが、柳瀬さん。なぜ自身の目に“一時は都心から姿を消したはずの鳥”が映ったのかを、都市構造と紐付けて考察するのです。

本作のキーワードは「環世界」なのだと思います。環世界が一致しているから、自分は今日カワセミと出会えたのだ...凡庸な私などは「あー、東京の川もきれいになったから、またカワセミも戻ってきたのかなぁ」くらいのことしか思いつきませんが、柳瀬さんは違う。そして、本作の白眉は文末の3行での結論に尽きるのですが、これはぜひ、小誌を手に取ってお確かめください。そうか、そうだよな、うん。になること、間違いなしです!

 カワセミがいる都会の街は、「いい街」である、ということだ。
 あまりにざっくりしていて申し訳ない。
 が、「いい街」としか言いようがないのだ。
 なぜか。それはカワセミの「環世界」に入るとわかる。

 環世界とは、戦前のドイツの生物学者、ヤーコプ・フォン・ユクスキュルが提唱した概念だ。原生動物から人間まで、あらゆる生き物は、リアルな場所で暮らしているが、実際にそれぞれが認知しているのはそれぞれの感覚器で入手した「知覚世界」だけである、ということだ。同じ場所にいても、人間とダニと犬とカワセミでは、違う「環世界」に暮らしている。それぞれの感覚器が異なるからだ。犬は人間の数万倍の嗅覚を持つ。つまり犬は、人間が目で見ている「視覚の世界」と同等以上の「匂いの世界」にも暮らしている。
 では、カワセミはどんな環世界に暮らしているのだろうか。


〜ウィッチンケア第13号掲載「カワセミ都市トーキョー 序論」より引用〜

柳瀬博一さん小誌バックナンバー掲載作品:〈16号線は日本人である。序論 〉(第5号)/〈ぼくの「がっこう」小網代の谷〉(第6号)/〈国道16号線は漫画である。『SEX』と『ヨコハマ買い出し紀行』と米軍と縄文と〉(第7号)/〈国道16号線をつくったのは、太田道灌である。〉(第8号)/〈南伸坊さんと、竹村健一さんと、マクルーハンと。〉(第9号)/〈海の見える岬に、深山のクワガタがいるわけ〉(第10号)/〈富士山と古墳と国道16号線〉(第11号)/〈2つの本屋さんがある2つの街の小さなお話〉(第12号)

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