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データ活用先進企業の特徴を解説(TSUTAYA)

 TSUTAYAといえば、近所にあり、気軽に入れて、ふらっと立ち寄りたくなる場所ですよね。近年ではライフスタイルの提案に力を入れて、文化のプラットフォームを提供している印象をもちます。
 常に進化を続けるTSUTAYAの背景に、データサイエンスの積極的な取り組みがあり、コンシューマーの体験価値を創出している点が考えられます。
 このnoteでは、TSUTAYAのデータ活用が進んでいる理由について、ホームページを参考に解説します。また、これからデータ活用を推進する企業向けに必要な取り組みを解説します。
 データ活用企業を評価するには、CMMIのDMM(データマネジメント成熟度モデル)で考えるのが良さそうですが、ここでは平たく「データ活用文化が組織に根付いている」と考えます。

1.経営戦略がサービス中心であること

デジタル社会における人材開発部門の体制でも解説しましたが、DX推進企業の定義はVeriSM(DXのガイドライン)に基づくとサービスプロバイダーになり、ビッグデータを活用して、コンシューマーの体験価値を創出し、エンゲージメントを高めることで、結果的に他業界含めて社会基盤が変わることです。
 TSUTAYAのシェアラウンジやTSUTAYA内のスタバでゆっくりしていると気付くと思いますが、地域コミュニティの場として機能しています。
つまり、TSUTAYAを中心に地域に密着したサービスが展開できてきているということです。
 サービスに目が向いているので、空間はオシャレで店内の販売物も機能を販売しているのではなく、ライフスタイルの提案をしています。商品一つひとつを手に取れば、なぜこれを販売しているのかの意図にライフスタイルの提案が見えてきます。レトロが好きな人もいれば最新のエレクトロニクスが好きな人もいるでしょうし、美容や子育てもあれば、キャンプやサイクリングなど、いろんな角度で提案していますよね。
 渋谷、二子玉川、湘南でもそれぞれ異なる提案をされており、湘南では湘南ならではのレストランやショップもあるため、地域ごとに場を創っているのが伺えます。

2.ビッグデータを活用するナレッジが溜まっていること

 TSUTAYAは昔からポイントカードで顧客属性を集めており、顧客分析をされてきたと考えられます。おそらく、相当の顧客分析のナレッジが溜まっているはずで、これがあることはTSUTAYAにとって非常に強みであり、財産です。
 単にビッグデータをもっていても意味はありません。よくデータは石油に続く宝のように言われますが、データにおいては活用目的がないと全く意味がないのです。こういうデータをダークデータと呼び、多くの企業ではダークデータが邪魔をしてデータ活用が進まないという話もあるぐらいなので、ビジネス施策がない中で、ただ貯めておくのとTSUTAYAのようにビジネス施策があって顧客属性を活用しているのでは、企業力は歴然としています。

3.データサイエンスが大事であるという意思があること

TSUTAYAのホームページを見ていただくと分かりますが、データサイエンスをここまで大きく取り上げている企業はそう多くはありません。
 TSUTAYAはレンタル時代から顧客ニーズの仮説をつくり、満足度を向上させてきたことを考えると、この流れは当たり前になりますが、それでもここまで強いメッセージを出していることを考えると、社内の文化としてデータ分析によるニーズの仮説づくりは当たり前になっていると思います。
仮説づくりは、データ活用者がデータ活用できるかどうかの第一歩であり、社員全員が同じ方向を向いて仮説づくりを当たり前としているかが組織力にもつながるので、データ活用文化が根付いているのは非常に強いです。

データ活用推進に必要な取り組み

 TSUTAYAでは、ポイントカードのような定型データに対する顧客属性のデータマネジメントはもちろん、SNSやブログ、センサーデータなどを合わせたデータ活用も進んでいると想像します。
 しかし、多くの企業では、AIBIを導入したり、CRMMASFAによるマーケティング施策やセールスの業務変革を促すなど、社内業務の改善・改革にとどまっていることが多いようです。
 経営者の意識としては、企業全体でデータ活用を促進させて、売上・利益を拡大させたいと考えていますが、現場の意識としては、各業務に限定されたデータ活用に留まっているため、企業全体にデータ活用文化を浸透させることが課題となっています。
 解決にあたっては、一般的には、経営戦略でデータ活用を掲げ、経営者が率先してデータ活用を推進し、社員に背中を見せることが挙げられています。その上で「データ活用者の育成」と「データ活用の仕組み作り」を同時並行に行うと、企業全体でのデータ活用が加速します。
 データ活用者の育成には、データサイエンティストの育成のみならず、ビジネス施策の仮説構築ができる社内コンサルタントも必要なので、両者をバランスよく育てていくことを提案します。
 データ活用の仕組み作りは、データの収集や整理、データ品質やセキュリティといったデータマネジメントが求められています。
データマネジメントは、システム開発・保守とは別の知識や能力が必要なため、IT部門のみに任せず、データマネジメント専門部署の立ち上げを推奨します。

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