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【研究報告メモ】 飲酒関連の肝疾患の入院率増加、女性で顕著

 京都大学大学院医療経済学分野教授の今中雄一氏らの研究グループは、新型コロナウ イルス感染症(COVID-19)の流行により、2020年4~6月における飲酒関連の肝疾患や膵炎による入院率が流行前の期間と比べた変化を調査した研究報告を発表しました。

---論文から---
 入院率は約1.2倍になった。
 女性では増加がより顕著に見られ、2020年6月には前年同月の倍だった。
COVID-19の流行下において、女性がより経済的な影響を受けている可能性が示唆されているため、経済的な影響の性差を反映している可能性がある。

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研究期間中のアルコール関連肝疾患または膵炎の入院。
Model1:傾向と季節性を含むポアソン回帰モデル。
predict:コロナ禍が起きなかった場合の予測。
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 コロナ禍での経済的ダメージは女性の方が大きいという研究報告はすでに出ており、著者の考察に同意します。
 断酒が安定していても、自助グループに参加できなくなっただけで飲酒欲求に悩まされるようなることを依存症の当事者の多くの方から聞きました。  それに加え、失業や一時帰休などの負のライフイベントにさらされると、再発リスクは一気に上がると考えられます。
 一方、「飲み会が減った」、「リモートワークになり、嫌な上司と顔を合わせなくてすむようになった」などの経緯で、飲酒量が減ったという話もよく聞きます。
 本研究の結果からも、人口全体としては、コロナ禍は飲酒問題に悪影響を与えることは確かですが、影響の受け方には、個人差が相当あり、良い影響であった人も少なからずいるのでしょうはないでしょうか?
 私見ですが、増えた入院者は、「元々、アルコール依存症を患っている、あるいは、予備軍(プレ・アルコホリック)で、かつ、コロナ禍になってから飲酒再開・増加した人達」ではないかと推測します。