エレファントカシマシの魅力 その弐 歌詞

自分の過去ブログ(2009~)からの転載マガジン

エレカシの魅力その弐

【ココロに響く歌詞】

その壱に書いたとおり、宮本さんの声のデカさと感情移入した歌い方によりエレカシの曲は歌詞カードを見なくても歌詞をしっかり聞き取ることができます。
しかし、逆のことも出来るのです。

それは、歌詞だけ読んでも楽しめるのです。

これはEPIC時代が顕著です。宮本さんはファーストの冒頭で

「黒いバラ取り払い 白い風流し込む 悪い奴らけちらし 本当の自由取り戻すのさ」

と叫んでいます。これがファーストアルバムの全てを物語っているでしょう。とにかく反社会的です(笑)そういえばこのタイプのバンドは最近いませんね。私が知らないだけかもしれませんが、社会に迎合したバンドが多くなった気がします。のちに集大成の「ガストロンジャー」を作り上げた原点はファーストの皮肉たっぷりの歌詞に見え隠れしてますね。

で、歌詞が面白いのは実はセカンドアルバム以降です。セカンド冒頭の「優しい川」にて

「優しい川を流れる岸辺には 光をあびて輝く姿あり」歌の終わりに
「ナミダの顔が見える ナミダの顔が」

といった感じで、ファーストの社会をぶっ壊すぞ!からなんか急に弱っちく非力な文学少年みたいな歌詞ばかりになり泣きそうに歌い出すのです。しかしこれが面白い。一種の散文というやつです。花鳥風月をロックに乗せるというエポックメイキングを起こしたのです。でもロックと言うかだんだん吟遊詩人宮本になっていきます。美しい花鳥風月の描写だけに留まらず、男性諸君のどうしようもない、だらしなさや情けなさを恥ずかしげもなく歌詞にして歌うのです。ださすぎることを歌詞にして歌うあたり、今年生誕何周年かの記念の某小説家の自虐的な作品に通ずるものがあるのでは?と勝手に思い込んでます。
(ちなみに6thの「奴隷天国」でさらにパワーアップして攻撃的になって帰ってきます、CD聴きながら怒られるという貴重な経験ができますよ!)

その後あまりの不人気のためepicの契約は7th発売後に切れて、しばらく途方に暮れつつも地道にライブ活動をしていたようですが、「悲しみの果て」で見事再デビューを果たします。契約打ち切りを知った時に「この世は最高!」というとびきり明るい曲を作ったり、悲しみに暮れた時期に名曲「悲しみの果て」を作り上げるところが、宮本さんの凄いところで、宮本さんの体験そのままだからこそ、

伝わってくるんです歌詞が。

だんだんとEPIC時代のような独自性は失われていきますが、苦悩を歌詞にするスタイルは時々顔をのぞかせます。宮本さんの苦悩は色恋沙汰とは違う部分が多いので、やはり面白い歌詞です。
そして徐々に宮本さん自身も年を重ね、最近では「俺たちの明日」のような人生応援歌を作って、自分だけでなく周りの人間も元気づけるための歌詞を書くようになった気がします。昔は全て自分のため、今はみんなのためって感じがしますね。
私は宮本さんの生き様を追ってきたので結構知っているせいか

どの言葉もホントにすーっと伝わってきます

でも宮本さんについて知らない人でも、あの声で「さあ がんばろうぜ!」と言われて元気が出ない人はいないでしょう。

【総括】
宮本さんの歌詞は時代により全く異なる味があるが、総じて面白い。花鳥風月、反逆精神、苦悩、励ましの言葉が溢れています。それらの言葉は、あの人物のあの声に乗ることで説得力が増し、とてもココロに響くのです。

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