エレファントカシマシの魅力 その参 四人で一つ

自分の過去ブログ(2009~)からの転載マガジン

エレカシの魅力その参

【不変の仲良し四人で一つのロックバンド】

今までエレカシの魅力を解説してきましたが、読んでくれた方はおそらく、とにかくボーカルの宮本というのが凄いんだな?ということだけはわかっていただけたかと思います。しかしエレファントカシマシはロックバンドです。決してアーティスト:宮本浩次ではないのです。ロックバンド:エレファントカシマシです。
この差は非常に大きいです。エレカシを聴く人は、誰もがまず宮本ありきというのは、決して否定できないでしょう。あれだけの個性と実力と才能の塊のような人物は滅多にいません。エレカシ=宮本という図式が成り立つのは当然のことです。私の中でもエレファントカシマシの七割は宮本浩次その人ですから。

しかし、十割が宮本浩次ではないのです。この残り三割はギター石森敏行、ベース高緑成治、ドラムス冨永義之であるからこそ、

エレファントカシマシというマジックが完成したと言えます。

はっきりいって演奏隊はテクニシャンだとは思いません。リズム隊は安定感はありますが特別目立った特徴があるとは思いませんし、ギターも心地よいフレーズが多いですが、宮本さんのギターの方が安定感は全然ないのですが独創性と攻撃的な時があるので、どちらも甲乙つけがたいといった状態です。

じゃあ演奏隊は誰でもいいんじゃないの?という発想も生まれますが、大事なのはフロントマン宮本を自由に暴れまわらせて最大限に引き立てる役割に徹することができるのは、中学・高校時代から変わらぬ友人であったこの人たちにしかできないはずという点です。宮本さんの才能を誰よりも認めているのがこの3人であるのは間違いないでしょう。ミュージシャンとはどうしても個性を出したくなる生き物ですが、この3人は引き際を完璧にわきまえているように思います。これも友達だからでしょう。中には宮本にびびってるんだけじゃないのか?という説もありますが、宮本さんは口喧嘩は最強でしょうが、腕っ節は明らかに他メンバーの方が上っぽいので間違っていると思います。あくまで私の推測ですが、昔のエピソードを読むと、宮本さん一人が暴れん坊だったわけではなく、それぞれ気が強い部分があったように思います。しかし、バンド活動を続けるうちに自分たちが一番輝く瞬間は宮本を最大限に暴れさせることだと確信していったので、今の形に落ち付いたのだと思います。
ロックバンドというのは大抵ボーカルまたはギターがもっとも注目されますが、エレファントカシマシの場合は、注目がボーカルに極端に集まっています。しかしそれは他が大したことないというより、

ボーカルが桁はずれに良いというだけのことです。

先ほど演奏陣はテクニシャンじゃないといいましたが、CDだと伝わらない部分としては、ライブに行くと演奏陣のダイナミズムは凄いです。CDの五割増しくらい太い音で攻めてきます。ザ・ロックっていう音です。
エレファントカシマシの音楽は、早いわけでもなく、重いわけでもないのに、塊のような波が押し寄せては突然消えたりします。ぴったり息が合ってる時や、徐々に走り出す時、ブレイクのタイミングなどが憎らしいほどかっこいいのです。ライブアレンジがここまでカッコいいのはビックリです。特に初期の曲は元々チープな音作りの曲も結構あるので、ライブでの変貌ぶりには度肝を抜かれます。そういう意味では、ダイナミズムを出すテクニシャンと言えるかもしれません。

それと宮本さんの石君への異常な執着・愛着からもわかる通り、宮本さんはメンバーに精神的に甘えている部分も多くあるように思います。これも若い時に出来た友人ならではですね。どんなわがままで、無茶苦茶なことやってもこいつらはついてきてくれるという安心感から、あの破天荒な曲作りやライブパフォーマンス、生き様を貫けるような気がします。極論を言うと、宮本さんのような思考回路の人が途中で果てずここまで生き抜いてきたことは、メンバーの存在が大きかったような気がします。

エレカシのような浮き沈みが激しく、やってること自体過激なバンドが一度もメンバーを変えずに活動していることは、ロックバンドの例で言うと非常に珍しいです。相互依存な面もあるのでしょうが、ここに

メンバーの強い絆を感じざるを得ません。

そんな人間たちが作ったからこそ「俺たちの明日」はとてつもなくココロに響く曲となったのではないかと私は思っています。

ある意味ひどい話なのですが、宮本さんが石君について、ギターはサポートギタリストが完璧に弾いてくれるから、石君は何にもせず舞台に立っててくれさえすればいい、みたいなことを言っていましたが、見方を変えるとこれは究極の絆ともとれます(笑)ホント無茶苦茶なこと言う人ですね。でも「Good Morning」制作では一人でやるといいつつ石君に頼ってたんですよね。

【総括】
エレカシは稀に見る仲良しロックバンドである。宮本浩次といういつ自爆してもおかしくない核爆弾を、兵器として利用することに成功した優秀な軍隊のようなバンドです。宮本さんだけが注目されるにも関わらず、四人で一つのロックバンドであることをこれほど感じさせるという不思議なグループです。

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