極楽征夷大将軍を読んで。

「極楽征夷大将軍」という本を読んでいる。

足利尊氏・直義(ただよし)兄弟の室町幕府設立、及びその後を描いた歴史小説である。

読み始めてから知ったのだが、今年の直木賞受賞作らしく、本屋に行ったら大々的に宣伝されていた。

自分は最近、歴史小説にハマり始めており、織田信長や豊臣秀吉らへんの時代の小説を好んで読んでいたところ、Twitterもといエックス(これ言うのめんどくさいな)にて、この本がオススメとして流れてきて、面白そうだったので購入した。

内容は読んでもらうとして、面白いのはその主人公である足利尊氏の人となりである。

鎌倉幕府を滅亡させ、室町幕府を設立させた大物。歴史が好きな人なら、名前ぐらいは聞いたことがあるであろう大物。

そんな大物のことである。それはそれは頭のキレる天才で、文武両道、将軍として傑出した存在であったに違いない。

じゃなきゃ旧幕府を滅ぼし、新幕府設立など、できるわけがない。武士の頂点である征夷大将軍に任命されるはずがない。

そう思っていた。

しかしこの本を読んでいると、どうやらそうではなかったということがわかってくる。

確かに征夷大将軍となったのは間違いないが、それは周りに担がれ、周りの人々にサポートされることで結果的にそうなったということらしい。

当の本人は、権力や物にまったく興味がなく、ただただ愛想がいい人間だった、というのである。

そんなことがあるだろうか。愛想の良さだけで、征夷大将軍になるような人間がいたのか。

どうやらいたようである。それもあって、尊氏は陰で「極楽様」(何も気にせずのほほんと生きている様から)と呼ばれていたといい、当人もそのことは知っていたという描写も出てくる。

しかし本人の尊氏は気にしていない。むしろ自分の阿呆さを認め、優秀な弟(足利直義)に当主を変わってくれだの、お前のほうが優秀なのだから政務はすべてお前に任せるだの、わがまま言い放題である。

そんな尊氏と、実際に優秀であった直義、そしてその周りで2人をサポートする武士たちの愉快な物語なのであるが。

まだ僕も読み終わっていないので、オチがどうなっていくのかはわからない。

わからないが、いまちょうど読んでいるところで、昔から一緒に苦楽をともにして戦ってきた人と、仲違いをするシーンがあった。

ドラマや小説、そして現実世界でもままあることであるが、仲違いは悲しい。あんなに仲良かったのに、あんなに一緒に戦って、夢を語ってきた仲間同士であるはずなのに。

このストーリー上での仲違いの理由はいろいろとあるが、世間一般と同じようなものだ。目標達成した後の価値観や目的意識のズレ、ある程度の権力を手にしたからこその妬みや嫉妬、そして周りの人たちのヤイヤイ言う声。

僕はこういった状況を観ると「いや、周りの人の話じゃなくて、当人同士できちんと話をして、事実確認・意思確認を取ればいいじゃん」と思ってしまう。

もちろん、そんなことはみんな百も承知なのだろう。その上で、いろんなプライドや思い、欲望を考慮した結果、そうなってしまうのだろう。

悲しい。みんな仲良くしたらいいのに。

傍目から見ているとそう思ってしまうのだが、僕が当人だったらそんな達観はできないんだろうなとも思う。

小さなプライドと見栄に固執し、やっかみ全開で薄汚く駆けずり回るのであろう。

実際、どうなのであろうか。

僕は割りと物欲や権威欲がない方だなと思っているのだけれど、もしかしたらそんなことないのかもしれない。

いまお金や権力を持ってないから、半分諦めの気持ちでそうなっているだけで、権力を手に入れた途端、欲にまみれた人間に成り下がるのかもしれない。

というか、個人的にはそうなる可能性のほうが高い気がする。

僕のような器の小さな人間が、下手に権力やお金を持ったときにどんな人間に成り下がるのか。

非常に見てみたい。

個人的に楽しみである。

また成功したときの楽しみが増えた。

とりあえず僕は横浜に極楽居酒屋を開く。

現場からは以上です。


@yohjihonda fdy.incというアパレルブランドの代表をしています。@fdy_inc SenveroOnDemandという飲み会を企画しています。