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【童話 #22】たっくんちの小人さん

※これは子どもむけの童話になります

たっくんは小学2ねんせいです。

「行ってきまーす」
たっくんは今日もげんきな声で言いました。

げんかんを出てから、あっという間にたっくんのすがたは見えなくなりました。
たっくんはとても早く走って学校へ向かったのでした。

その姿を見たおかあさんはにっこりとほほえみました。



今日は4日つづいたお休みのあとの学校で、たっくんの大好きな体育のじゅぎょうがあります。

みんなでドッチボールをすることになっています。

たっくんはみんなと会えることとドッチボールができることで、昨日の夜からおおはしゃぎでした。

おかあさんはたっくんを見おくると、朝ごはんのあらいものののこりを洗おうとしました。

ちょうどそのとき、はっと思い出しました。

体そうぎを手さげバッグに入れるのをわすれたのです。

お母さんはきゅうにたっくんのことがしんぱいになりました。

学校でたいそうぎがなくてないているかもしれません。

おかあさんは洋ふくを入れているたなに行きました。

ところがたっくんのたいそうぎはありません。

「あれれ、たいそうぎはバックに入れたのかしら…」

お母さんは思い出そうとしましたがなかなか思いだせません。



たっくんはお昼すぎにはかえってきました。

いつものようにえがおです。

お母さんはたっくんに聞きました。

「お母さん、たいそうぎをバックに入れてないような気がしてたけど、バックの中に入ってたかな?」

たっくんはニコニコとわらいながらこたえました。

「えっ?たいそうぎはバッグに入ってたよ。どうして?」

お母さんはふしぎそうにたっくんを見ました。

「たいそうぎをバッグに入れたきおくがないのだけどね…。」



次の日です。

お母さんはこんどはハンカチをもたせるのをわすれてしまいました。

たっくんが学校からかえってくるとお母さんはききました。

「きょうはハンカチをもってなかったでしょ?どうやって手をふいたの?」

ところがたっくんはニコニコしながら答えます。

「ハンカチ?ズボンのポケットに入っていたよ。どうして?」

こんなふしぎなことがつづきました。



ある日、お母さんはまよなかにトイレに行きたくなって目がさめました。

くらいおへやのあかりをつけると、こびとさんがコソコソとはしりだして小さなかべのあなへにげていきました。

お母さんはランドセルのよこにある手さげバッグの中をそっとのぞいてみました。

そこにはお母さんが入れわすれた国語のノートが入っていました。

たっくんのおうちにいる小人さんはわすれものがないようにいつもかべの中から見まもっているようです。

お母さんは小人さんのことに気づきましたが、たっくんにはないしょにしました。

たっくんは今日もえがおでわすれものもなく学校にかよっています。

小人さんはたっくんが一人でじゅんびをできるようになったら、この家からひっこすよていです。

ひっこすにはまだまだじかんがかかりそうですね。


【おわり】

ありがとうございます。気持ちだけを頂いておきます。