1/100の確率で当たるくじ。100回引いて1回も当たらない確率は?
株式会社東風社 https://www.tofusha.co.jp/
代表取締役 幸本陽平
「100分の1の確率で当たるくじ」を100回引いたら?
突然ですが問題です。
※注意:箱からくじを引くタイプではなく、スマホゲームのガチャのように「毎回の当たる確率が100分の1」のくじです
あなたは直感的に「1%くらいじゃないか」と思ったのではないでしょうか。
しかし実際には、この確率を計算すると約36.6%にもなります。
計算式:100回連続外れる、ということは99%側になる確率を100回続ける、を意味します。したがって0.99×0.99×0.99…と100回かける、すなわち0.99の100乗は約0.366。よって求める確率は約36.6%です。
つまり、この100連ガチャを非常に多くの人がトライしたら、3人に1人以上が1回も当たらないのです。
なぜ直感はズレるのか
このズレの原因は、確率を理解する難しさにあります。
私たちは、「1%」という数字を「すごく低いが、絶対に当たらないわけではない」としてざっくりと捉えることはできます。
しかし、それが多数回繰り返されることでどう影響するかを正確に「数字で」予測することは不得手です。
そのため、私たちの直感は「1%を100回足し合わせて100%になる」のような単純化を行いがちです。
しかし今回のくじはそれぞれ独立した試行、つまり「1回目が当たりでも外れでも、その結果は2回目の結果に影響を及ぼさない」結果となります。そのため、上記のような計算をする必要があり、直感とのズレを生みます。
ゲームの確率調整──ユーザーを楽しませる仕掛け
このような確率を直感的に理解することは難しいので、ゲーム開発では独自の工夫が行われています。
たとえば「ガチャでSSR(スーパースペシャルレア)が1%の確率で当たる」と明示されていても、実際にはユーザーが長期間当たりを引けずにストレスとなる可能性を避けるため、「天井(一定回数以内に必ず当たりが出る仕組み)」や「確率アップ、すなわち実際には5%程度に設定する」等のシステムが用意されていることがあります。
1%はともかく、たとえば成功確率30%のくじに5連続で失敗すると、プレイヤーは「全然当たらない!インチキだ!」と感じてしまいます。
しかしこれは0.7の5乗、すなわち約16.8%の確率で起こることで、それほど珍しいことではありません。
(打率3割の打者でも5打席凡退することは6試合に1回くらいはある、と置き換えるとわかると思います。)
しかし、ゲーマーは楽しみたいので、このようなくじの結果にはゲームの面白さよりもストレスが勝ってしまいます。そのため、こうした調整が重要になります。この工夫がないと、確率に対する人間の直感と実際の数値にズレが生じ、不満の原因となります。
確率から学ぶ「数字を正しく読む力」
確率に限らず、数字を正しく理解することは重要です。
私たちは普段、目に見える数字や確率を自分の直感で処理してしまいがちです。
しかし、そこに隠れた本質を見抜くには、冷静な計算や数学的思考が必要です。
ゲームのガチャ、保険のリスク計算、投資の期待値など、生活に数学や確率は欠かせません。細かい計算はできなくても、直感と実際の確率は異なる場合が多いことを覚えておくとよいでしょう。
数字を鵜呑みにせず、その背後にある意味を考える。
この姿勢を日常で継続することで、現実を正確に捉えられるようになります。
株式会社東風社 https://www.tofusha.co.jp/
代表取締役 幸本陽平