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2020年、社会人としての痔核。

あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。2020ってなんか字面が規則的で好きです。年号っていう感じがしなくて。

年末年始は皆さま、親戚で久しぶりに集まったり、はたまた海外で過ごされたりして佳い年を迎えられたことと嬉しく思いますが、僕は27歳を目前にして生まれて初めて患った痔にひたすら苦しんでおりました。これを読んでくださってる方やその身の回りの方には、もっと深刻な病気を経験された方もいらっしゃると思うので、こんな風にいうのも憚られるのですが、間違いなく僕の人生では最大の痛みで、なかなかに思い出深い新年の幕開けになりました。

もちろん、現代なので痔についてググれば色々と情報は出てきます。特に個人のブログは、病院に行けない場合にどう対応したかなど、とても参考になり、また自分と同じ辛さを味わっている人がいることに救われ、さらに笑える文章で書かれていると気持ちが軽くなりました。

しかしながら、そんな経験談の記事がネット上で意外と少ないなと感じましたので、いつか、幸ウンにも痔の神様に巡り合ってしまった人にとって、少しでも参考になればと思い、記録に残してみることにしました。

※当たり前ですが医療の知識や資格に基づいたものではないのでご自身の責任で行動をお願いします。とにかく専門医に見てもらうのが一番だと思います。

-1日目

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11月から12月にかけて、アメリカ・中国のほか国内でも熊本や仙台など、土日も含めて出張続きだったり、体力的に少しハードだった。そんな仕事をようやく納めて、いざ冬休み!ということで山形の銀山温泉・秋田の鶴の湯温泉に行ったところ、見計らったかのようなタイミングで急性胃腸炎を発症。幸いにも上の口は大丈夫だったが、下の方に、ほぼ水状態のGaryが1時間に一回押しかけてきて、ずっとトイレに篭る羽目に。もっとも、この胃腸炎自体は、旅の終わりとともにスッと引いた。しかし....。

0日目

東京に帰ってきてからの年の瀬も、忘年会を口実に夜更まで出歩く。そんなある日の昼過ぎ、友人と新宿のテルマー湯に行った帰りに変調の兆しが。歩いたり、くしゃみや咳をしたりすると、お尻のあたりに鈍い感覚が走る。この時はまだ呑気に「痔かもしんねーわw」と軽口を叩いていた。

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帰路にて一応ボラギノールを購入する。

1日目

起床すると、明らかにお尻の痛みが増しており、また患部がやや膨らんでいることに気がつく。医者に見てもらおうと自宅近くの病院を探すが、年末年始でなかなかやっていない。やっと見つけた小さな病院でSiriを丸出しにして診てもらったところ、医者から「お腹に力が入ると痛いのは典型的な痔の症状だけど、見た目があまりそれっぽくないんだよなあ、、、」との診断(?)あり。注入軟膏と、念の為と外傷用の塗り薬を処方される。薬局のおばちゃんに「酒や刺激物は口にするな」と念押しされる。注入軟膏は初めて使ったが、注入シーンを他人に見られると自尊心が傷つくこと請け合い。

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2日目

回復の兆しなし。すごく楽しみにしていた高校同期とのフットサル大会出場を断念、一日中Yogiboかベッドの上で安静にする。Call of Duty Mobileのレベルだけが爆速で上がっていく。

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3日目

大晦日。やはり回復せず。一人暮らしの自宅を大掃除したあと、電車で1時間ほどの実家へ帰省するが、歩くだけで響くようになってきた。今年の「笑ってはいけない」は、お尻に響くので本当に笑ってはいけない。けつバットを食らう彼らにこれほど同情したことはない。

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4日目

元旦。昼ごろ、親戚が僕の実家に訪れてみんなでおせちを食べるが、座るのも痛くなってきた。食欲まで減退する。夕方にはさらに悪化して、うつ伏せで寝る以外のどんな体勢も辛くなってくる。とくに①寝ている体制から立ち上がる時と、②排尿が終わった瞬間などに、ーーいまだにこれを言葉でうまく表現できないのだがーークッと持ち上がるように肛門が収縮する時、そして、③咳やくしゃみをする時に激痛が走り、「ンアアッ!」という情けない声が出るようになる。この時、たぶん範馬勇次郎のような顔になっていたとおもう。

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実家で飼っているヨークシャーテリアが無邪気にお尻を踏み越えていくだけでもHPをゴッソリ削り取られる、か弱き勇次郎。あまりの辛さに、少しでもこの経験を笑いに変えられないかと、ついこの間のM-1で優勝したばかりのミルクボーイ風にネタを考えだすなど、この辺りからかなり精神的に追い込まれている(以下、適宜読み飛ばしてください。noteって折りたたむ機能無いのか)。

「おれのオカンが昔病気で困ってたらしいんやけどな」
「おーそれは大変やなー、どんな病気やったん?」
「いやそれが名前が思い出せない言うとるんや」
「自分がなった病気の名前思い出せないなんてことあらへんやろー。じゃあ俺が思い出すの手伝ってあげるから、病気の特徴教えてみてよ」
「んーそやなー、オカンが言うにはな、おしりの穴の近くがぷくーっと膨れてイボになって、座ったりすると痛むらしいんや」
「それ痔やないか。その症状は完璧に痔やろ。座ったら痛むってもう痔しかあらへんやん!」
「いや、おれも痔やとおもったんやけどな、オカンが言うには、もしも我が子がこの病気にかかったら、代わってあげられたらどんなにいいかと思うらしいんや」
「おー、、、ほな痔ちゃうかあ。痔の激痛を知っとったらな、いくら子どもといえどそうそう代わってあげたいなんて言えへんよ!そこはもう2020年や、個人主義の時代や!えーでもそしたら痔ちゃうやんけー、オカン他になんか言うてなかった?」
「オカンが言うには、その病気にかかったら使う薬は一個しか思い浮かばんらしいんや」
「じゃあ痔やないか!もう痔っていったらボラギノールしかあらへんからね!?ボラギノールとバファリンとムヒは薬の御三家なんやから!ほんであのCM、30年くらいやっとるけど、毎回毎回いい年こいたオッサンとオバハンのケツの断面図だけ写してどんな趣味しとんねん。もう痔や、痔に決まりや!」
「いやわからんねん。オカンが言うには、激辛ラーメン食べると治りが早まるらしいんや」
「じゃあ痔ちゃうやないか!痔の時は、基本なに食べてもいいけど、辛いものだけは絶対食べちゃイカンからね!?そんなもん食べたら、便座に座りながら世界中の辛いものの神様に懺悔して回ることになるから!もーそしたら痔ちゃうんやんかー、どないなっとんねん、他に特徴なんかいうてなかった?」
「オカンがいうには、その病気は漢字一文字らしいんや」
「じゃ痔やないか!漢字一文字で病気いうたら痔しかあらへんやろ。ちなみに「ち」に点々のイメージもあるけど、ただしくは「し」に点々らしいで。・・・ほーやあらへん!感心しとる場合ちゃうで!ていうか漢字一文字ってとこだけ覚えてて名前忘れてるってどういう状況なんや!?ネタ作りに協力的なオカンやなほんまに。もうどう考えても痔やろ!」
「いやおれもそう思ったんやけどな、オカンが言うには、その病気になった人は咳やくしゃみと併発すると、気にならなくなるらしいんや」
「じゃあ痔ちゃうやないか!併発したときにこそ痔の本領発揮やで!?咳とかくしゃみとかすると、お腹にフッて力が入って、そのせいでおしりの穴がめちゃくちゃ痛むんやから。ゴホン!ってきて前屈みになった直後にイテッ!ってえびぞりになるんやから。ピタゴラスイッチよりも正確に症状の玉突き起こるでほんまに!えー、なんの病気やねんなもーオカン他になんか言うてなかった?」
「オカンが言うには、その病気になったときに道を歩いてたら、すみません、野村萬斎さんですか?って言われたらしいんや」
「痔やないか!なるべく刺激を与えへんように動くからねあれ!?めちゃくちゃそーってすり足になってまうし、右へ曲がる時も2段階右折が必須なんよ!もう痔しかあらへんやろ!」
「いや俺もそう思ったんやけどな、オカンが言うには、痔ではないらしいんや」
「じゃあ痔ちゃうやないか!おれがここで野村萬斎のモノマネしとったときどんな気分で見てたんや!じゃあその病気なんなんやもう!!」
「オヤジがいうには、恋の病ちゃうかということなんや」
「そんなわけないやろ。もうええわ」

このあたりからいろいろ調べ始め、痔にもいくつか種類があり、痛くないが出血する「内痔核」と、痛いが出血はしない「外痔核」とに大別されること、自分の痔は後者、なかでも、肛門の外側の皮膚がそら豆のように膨らむ「血栓性外痔核」であろうということ、その場合は通常、放置しても数日から1週間で痛みが引くこと、完治を急ぐ事情がある場合などは医師の判断によって、日帰りの手術で切除できること、などがわかってきた(その他参考になった記事は末尾にまとめています)。

実際に自分のを撮影してみると、まさにネットに出てくる写真と同じだ。哀れ、iPhone 11 Proの高性能なカメラも、まさか男の肛門を撮影するとは思っていなかっただろう。

また、母親がいろいろ調べてくれた結果、血行を良くすると楽になるとのことで、ぬるま湯に30分程度半身浴をすると、その後数時間はだいぶ楽に過ごせた。年末年始を棒には振ったが、実家で看病してもらえたのは不幸中の幸いだった。大抵激痛で動くのもままならないので、なり始めの時期に誰かにヘルプをお願いして置けると良いと思う。親の偉大さを知る。

ちなみに夜は、隣の部屋で爆睡している我が弟のいびきも手伝って、何度も目覚め、痛みを思い出して眠れなくなるループに悩まされた。

5日目

憎いほどの快晴に起床するものの、やはり歩けぬ、座れぬ、起きられぬ。

何気なくYouTubeを見ていたら、ミルクボーイの漫才になんと「痔」というネタが実在するのを発見する。特に「お見舞いに来る人が全員半笑いやねん」「じゃあ痔やないか!」のくだりがパンチラインだった。

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人生で初めて、ウォシュレットを必要に迫られて使用する。清潔を保てる上に、適度な刺激が心地よく気分が少しだけ楽になる

階段の上り下りや排便などには、もはや相当の覚悟が必要になってきている。排尿時にクイッと肛門が収縮するのが怖くて、意識してしまうと余計にそれが起こるので、対策として、歌を歌いながら排尿することで肛門収縮への意識を紛らわすという方法を採り、これには多少の効能があった(ちなみに曲目として採用されたのはTHE HIGH-LOWS『日曜日よりの使者』。理由は、たしかこの曲は甲本ヒロトが人生に悩んでいた時に、松本人志のギャグを見て笑うとともに再び希望を見いだすことができた、その感謝を込めて作られたものだと聞いたことがあり、縁起がいいなと思ったため)。

母親が薬局に出向いてくれ、薬剤師がいないので抗生物質は出せないなど断られたりしながらも、何軒か回ったすえに鎮痛剤を調達してくれた。が、あまり効いている感覚がない。効いているのだろうが痛みがそれ以上なのだと思う。だが、ウーウー唸っていると、母親から「あんたを産んだ時の方が痛かったわよ」と一蹴され、それはそうだろうなと思う。再び親の偉大さを知る。

朝昼晩と頻繁に風呂に入る。やはり入浴後数時間は痛みが和らぐ。なお、晩にその日3度目の入浴をした際、それまでそら豆のように比較的なだらかだった患部が、銀杏のようにプクッとかなり飛び出してきていることに気がついて、やや焦る。飛び出しているので擦れやすくなっているのか、痛みは増していく。深夜、ようやく寝付けたと思ったら突然の激痛で目が覚め、もう泣きそうになりながら這うように2階へ上がって風呂へ浸かり、やや和らいだのでまた寝る。いつこの嵐は去るのか...。

6日目

起床すると、すでに昼の12時を回っていた。(よくこんなに起きずに眠れたな...)と思っていると、お尻の周りに何やら気持ち悪い粘り気があることに気がつく。ついに漏らしてしまったか、と恐る恐る、というかもはや諦めて、トイレに行こうと歩き始めると、なんと痛みが格段に和らいでいる。トイレで見てみると粘り気の正体は実は血で、寝ている間に、膨らんだ患部が、身体や下着と擦れて破裂したようだった。患部が萎み、圧力が弱まったせいか、普通に歩く分には痛みはあまりなく、少し違和感を感じる程度まで回復した

患部が破れて血や膿が流れ出たことは、まさに曇天の切れ間から一筋の陽の光が差し込んだかのように感じられた。嵐は突然に去っていったのである。完。

あ、まだ一応、完ではない。このnoteを書いている今も、立ち上がる際などはやはり多少痛みはあるし、患部から出血は続いているのでガーゼなどでサポートする必要がある。患部が破けて快方へ向かうというのがセオリー通りの回復経過ではないような気もする。ただ症状に気がついてから6日で大きな危機は過ぎたように思うので、熱が冷めないうちに経過を文章に残してみた。

追記:7日目で痛みがほぼ消え、幹部を直接触らなければ何をしても痛くなく、また、用を足した時にティッシュに少し血が着く程度になった。何も恐れずにくしゃみができるって、素晴らしい!!!

気づき

その1:発症の原因が揃っていた
そもそもベースとして、①仕事で体力を使っていた上に、②酒を飲んだり夜更かししたりと不摂生などもあって免疫力が落ちており、加えて、③下痢を患っていたこと、④新幹線やバスなどで長時間座っていることが多かったこと、⑤かなり寒い場所に割と薄着で滞在していたことなど、痔のロイヤルストレート的状態に陥っていました。今振り返れば痔にしてくれと言っているようなものでした。

その2:やっぱり体は資本(≠資産)
よくある言葉だし、そんなことを26歳でようやく学んでる時点で社会人としてどうなの感があるのですが、前職でファイナンスをちょっとだけ学んだ経験もあって、今回、言葉の意味がより身に染みてわかりました。

企業活動では、製造業を例にとれば、まず自分の元手(資本)を使って工場(資産)を建て、モノを作り、それを売ってお金に変える。そのお金や銀行から借りたお金(負債)で、機械を直したり新しくしたりしながら(資産の増加)、もっとモノを作ってもっと売る。その一部を利息として銀行に返したりして残った利益が、蓄えられ元手よりも大きくなれば(資本の増加)、次の工場を建てたり新しいビジネスにチャレンジできる。逆に資本が増えなかったり減ったりすると、そうした再投資もしにくくなる。銀行はリスキーな投資にはお金を貸してくれにくい(これは必ずしも意地悪したいのではなく、融資と投資の役割の違いという面もありますw)。

体について言えば、それが痛むと、もちろんその瞬間に家や車(資産)がなくなったりするわけではないけれども、将来そうした資産を増やすための活動は滞ってしまう。それでも無理をして動けば、それは将来の自分の体力を前借りしてツケを払い続けることになり(=銀行からの過度な借金と利払い)、その期間中は仕事にせよ勉強にせよぜんぜん捗らない(利益が溜まらず資本が増えない、自己資本比率の低下)。

工場や機械のように直接にモノを生む資産のようなイメージよりも、すべての活動の源泉である資本のようなイメージの方がしっくりきます。考えてみれば当たり前っちゃ当たり前ですが、なるほど体は資本、奥が深い言葉だなと思いました。

参考:助けられた記事たち

写真つきでわかりやすい解説。センシティブな写真なども含まれるので、一応閲覧には注意してください。

自分以上の苦しみを味わっている人の記事に元気をもらい、本noteを書く動機を与えられました。ありがとうございます。 

https://www.google.co.jp/amp/sub-low.hatenablog.com/entry/2017/11/12/190648%3famp=1

また、後から知りましたがこちらのブログも漫画形式で良さそうです。

2020年も、みなさまの肛門に幸あれ。

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