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#3 『窮鼠はチーズの夢を見る』 Review

※少しネタバレあり


2019年2月にエキストラで参加した映画『窮鼠はチーズの夢を見る』を観てきました。初のTOHOシネマズ池袋へ。

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新しい建物はバリアフリーの観点からチェックしています。上りのエスカレーターがあるのに下りのエスカレーターがありませんでした。エスカレーターは1列専用。高齢のご夫婦が階段を大変そうに降りていました。エレベーターは建物の中にありましたが、全体的に標識があまりなくて入口も分かりにくかったです。
個人的な感想ですが、新しい建物はオシャレ?なデザインが優先されてバリアフリーという優しさからは遠のいている気がしています。この写真を見ても車いすユーザーであれば、どこにエレベーターがあるのか標識もありません。視覚障がいの人の点字ブロックは? エスカレーターも狭く階段がメインです。というような健常者メインな印象を受けてしまう。これが2020年の建築レベルかと。


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映画のポスター。いいですね、最初見たとき鳥肌がたちました。


劇場はほとんど女性で埋め尽くされていました。その中に高校生の男子グループがちらほらいてソーシャル仕様でほぼ満席状態。中にはひと席空けずに密着している人もいて、カップルで寄り添って観たいんだな、と思わせる人たちも。

さて、自分が参加した場面がどんな風に仕上がったのか楽しみに観ていると、7カットほど私を確認できました。その内3カットは会議室のシーンで大倉忠義さんの隣にいたのでバッチリでした。
実はこのシーン、当初は1日だけ参加の予定だったのですが、行定監督とご挨拶できる機会に恵まれ、そのとき「あの会議室の広告代理店の役でいいじゃない、この日来れる?」って行定監督直々に言われ介護の仕事を休んで追加でもう1日参加したんです。計2日間。

行定勲監督といえば、もう説明不要の日本を代表する映画監督ですよね。そんな監督が現場でどのような演出をするのか《見学》したくてエキストラ募集のサイトを知って応募しました。それに同じ熊本出身ということで熊本復興映画祭の活動なども見てきて感銘を受けるとともに近づきたい、とより意識するようになったのです。


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熊本城の二の丸広場で『うつくしいひと サバ?』野外上映、まさかこの後ゴミ拾いをするなんてとお客さんの行動を疑ったが、捨てる人がいれば拾う人もいて知らない人たちと笑顔でコミュニケーションできたことが映画祭の思い出になるなんて。(2017年)
余談:サバに出ていたロイック・ガルニエさん。私にそっくりで、地元の友人に「お前熊本の映画祭で上映される映画に出とっど?」と言われました。確かに遠目で見たら私だ、、、


さて、話を戻し映画の感想は多くの人たちが今まで見てきたラブストーリーとは少しビジュアルが違うものだったかもしれないけど、恋愛の本質は同じであり、こういった愛の形がようやく見れる時代になったという視点でこの作品はすごい意味を持つと思う。LGBTQの友達が周りにいるので、性の多様性がもっと認められたらいいのにな。


そういえば、最初のキスシーンで前列の方から「キャ!」と悲鳴のような声。となりの女性は、あ、となりといってもソーシャルなので席はひとつ空いているんだけど、最後号泣していました。(わかる!)

個人的には、恭一の家のドアがゆっくり閉まってピアノの音楽が流れるところ、好きです。《ドアを閉める》《キャメラがゆっくり引く》だけで家の中での様々な出来事を想像できた。何気ないワンカットで感動。

泣いたシーンはワインのサプライズシーン。成田凌さんの表情にやられました。台詞も響いた。「飲まない」そうなりますよね。そして「来年また同じの買うよ」❣️
この辺りから恋愛映画というよりか、2人のドキュメンタリーを観察しているかのような錯覚になり、映画を超えるものがありました。

そして吉田志織さん、とても可愛かったですね。現場でお会いしたとき、エキストラの私にも丁寧に挨拶してくれました。
エレベーターから出て廊下を歩きながら話す長回しのカットでは何度もNGが連発。パンプスが合わなかったのか足が腫れながら笑顔の芝居をされていました。私はエキストラで待機している場所が吉田さんと近かったので本番前の様子をずっと見ていました。会社の外の夜のシーンでも周りに気を使って笑顔で接してくださりファンになり近い将来、吉田さんにオファーします!(笑) あの夜のシーンとても寒かったんです。吉田さんの笑顔に温かさをもらいました。

ガヤといって環境音を録ったときのエピソード。
行定監督が側で聴いていたのですが、ほとんどエチュードの感じで私は「4Kテレビがもたらす効果」を話していました。ちょうど映像制作の仕事で4K動画を取り入れるタイミングでしたので誰よりも具体的に話していたと思います。監督の「カット!」の後に続く言葉が嬉しかった。「もっとこのまま聴いていたい、ほどのOKです」
やっぱり映画って楽しいな、演出もいいけど、たまには出る方もいいなと20代の役者時代の感覚が戻った瞬間でした。


エキストラは『ホワイトアウト』(2000年)以来?
あのときは高橋一生さんを救出する機動隊の一員でマスクをしていたから顔は分からなかったけど。若松節朗監督から「これは日本のダイハードだから、かっこよくやって!」というシンプルな演出にしびれました!

ん? そのあとジョビジョバのマギー監督『ショコキ!』(2001年)にもエキストラで参加していました。サラリーマン役。「これは日本のサラリーマンの働きっぷりを世界中にしらしめるんだ」とマギーカンチョク言ってましたね。カンチョクというのは、監督と呼ばれるのが照れ臭いのでカンチョクと呼べ、とのこと。

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香港の映画監督、盟友ウォン・ジンポー/黄精甫と(2001年)

その後、香港映画に携わり内トラ(スタッフがエキストラで出ること)も志願してやりました。夢の香港のスクリーンに映り、エンドロールに名前も記載された。嬉しかった! このとき髪はまだストレートだったので、パーマ・メガネ・髭の今のトレードマークでは、本作が初のスクリーン登場作となります。
中盤ぐらいの会議室のシーンで発見できますので要チェック! 大倉さんのとなりで頷いていますのですぐ分かります。大倉さんはずっと台詞を繰り返し言って集中力を高めていました。一方、成田さんは髪型にこだわっていたようで、ヘアメイクさんたちと談笑している姿が印象に残っています。


パンフレットは薄い紙で覆われたカバー付きです。これはシワになりやすく破れやすいのでご注意を。意図として、それだけ繊細な恋心を感じてください、というメッセージではなかろうか。

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この缶バッジはエキストラの記念品です。

本当にこの映画に参加できて良かったです。とても貴重な経験になりました。なかでも【映画の神様は私を見放していなかった】と感じたのが冒頭、今ヶ瀬が恭一に不倫現場の証拠写真を見せるシーン。

このシーンに私は出ていないのですが、待合場所で他のエキストラの方達と談笑していると助監督から「堀河さん、監督が呼んでいます」と言われ現場に向かいました。背景の一部としてエキストラが必要だったのかもしれませんが、キャメラ位置が確定し今はまだいいからとモニターの後方で待機することに。

大倉さんと成田さんが向き合って芝居をする。

モニターで行定監督がチェックしている。

不思議なことに、ありえないほど不思議なことに
行定監督の真後ろで、私が現場を俯瞰するように全てを見ている!!

分かります? この構図。
主役の芝居を映画監督として見れたんです。なるほどと! しかも行定監督の演出と、どのように撮っているのかモニターまでチェックできるという、信じられない光景でした。

正直にいうとこの時期、映画に疲れ憂鬱だったんです。なかなか新作映画が撮れず、企画も瓦解し、幸いにも映像制作の仕事はあるけれど日本映画学校の同期や後輩たちがどんどん新作を公開している。自分にニーズはないのかも、、、と。
せっかく東京にまだいるんだし、行定監督の新作のエキストラを応募している。ちょっと刺激がほしかったんだと思います。そしたら撮影初日の朝から行定監督にご挨拶ができ、モニター越しで行定組の動きが見れて、また来てよって言われて、、、 スクリーンを観たらちゃんと自分が映っていて、あぁ、まだ夢は諦めたらいけないんだなぁと思って泣けてきた。

実はコロナ禍の訪問介護って密以外の何物でもなく辛いときがあって、精神も体力も限界に近づいたときがありました。そんな最中の『窮鼠はチーズの夢を見る』公開。私はこの映画にあらためて自分の夢を見ました。それはチーズのようにほろ苦いものかもしれないけど、その苦い地を這いずった経験がこれからの堀河洋平を大きく動かすものだと信じて、映画と向き合っていく。そんな今更ながら夢に対しての覚悟のような経験をさせてくれた映画でした。

夢、あきらめずしがみついていれば、このような素晴らしいことが起こる。行定監督、行定組の皆さまに感謝ばするとです。
ありがとうございました!



人生には辛かぁ、キツイかときのあったい。
ばってんじっーと辛抱して、待っとったら
必ず自分のところにチャンスは回ってくるけんね!
そぎゃん思ったばい。



【エキストラ歴】

■ドラマ
1997年06月「いいひと。」(CX)
1998年06月「ボーイハント」(CX)
1998年09月「眠れる森」(CX)
1999年07月「笑うセールスマン」(ANB)
1999年08月「降霊」(CX)

■Vシネマ
2000年02月「首領への道 12」
2003年05月「VAMP THE SWRD」

■映画
2000年02月「ホワイトアウト」(東宝)
2001年02月「ショコキ!」(ポニーキャニオン)
2001年06月「ダイエット・ラブ ~痩身男女~」(中国星)

■バラエティ
1997年06月「TOKIO-HEADZ!」(TBS)
1997年07月「日曜ビッグスペシャル」(TX)
1997年11月「ぶちぬき27時間 熱血チャレンジ宣言97'」(ANB)
1998年03月「とんねるずの生でダラダラいかせて!!」(CX)
1998年07月「ためしてガッテン」(NHK)
1998年07月「炸裂スポーツパワー」(TBS)
1998年09月「恋のチューンネップ」(NTV)
2006年07月「科学でお悩み解決! サイエンちゅ」(NTV)

■CF
1998年01月「サントリー / デカビタC」
1998年04月「宝島」



そして、



『窮鼠はチーズの夢を見る』



ぜひ、劇場で《大切な人と》観てください!
もちろんお一人でも


劇場スタッフが感染対策をしっかりして待っています👍



スタジオウーニッシュ代表
映画監督 / 介護福祉士:堀河洋平



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