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映画「C'MON C'MON」

監督:マイク・ミルズ

タイトルはカモンカモンと読みます。鑑賞後に"なるほどいい題名じゃ"ってなりますす。キレのある変化球を見たような映画です。新鮮な構成というか、良い企みにうまく乗れました。私の気分が。
アメリカ中を回るラジオジャーナリストのジョニー(ホアキン・F)はLAに住んでる妹がある事情で留守になる数日間9歳の甥っ子ジェシーの面倒をみる事になる。ベースは叔父と甥が2人で過ごす物語なのですが、ジョニーがラジオの仕事で子供達にインタビューする様子がふんだんに挿入される。そのインタビュー自体はリアルなドキュメントなのです。新鮮に感じた点です。

貧困であったり介護だったり、それぞれの困難な環境に身を置く子供達の深い言葉が今今ジェシーと向き合っているジョニーの心に刺さっていくんですね。正直なところ"叔父と甥"とか親子じゃない子供と大人の関係を描いた物語って珍しくない。がそのメインの物語を捕捉するかの如きインタビューシーンの撮れ高が素晴らしいし、ラジオジャーナリストって設定の勝利だと思います。生のインタビューが無理なく挿入されるので。
子供達から見えている世界であったり押し殺している感情だったり、折り合いをつけている考え方を傾聴してるとですね。。観客の我々も9歳ジェシーの言動への理解が深まるという。ある意味ジョニーおじさんの感情を共有できちゃうんですね。子供と初めて向き合って心配や苛立ちを感じながらも徐々に深まる愛情を。家族への贖罪のような気持ちも含めジョニー自身が殻を破いていく物語なのです。きっと撮影中ジョニーという役を超えて人間ホアキン・フェニックスとして聞きながら感動してたんじゃないかなあ。

ジェシー役のウディ・ノーマン

記しておきたいのはジェシー役のウディ・ノーマン、、、彼なしでは成立しない映画だと感じたのは私だけではないはず。愛らしいルックスと無邪気な振る舞いは子供そのものなのに、両親や叔父の事情を理解したり我慢や寂しさの表情はどこまで演技なのか。ウディ・ノーマン凄すぎるぞ!!彼の表情とともに記憶される映画に違いないことは劇場に貼られたポスターが証明しています。素晴らしいプリントです。ポスター欲しい。
モノクロ映画なのも最高なんすよね。なんでモノクロにしたのか私なりの見解ははっきり持ってますけど、ここには書きませぬw
その意図を考えることも含めて秀作だと思います。

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