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映画「子供はわかってあげない」

監督:沖田修一

高校2年、水泳部の美波(上白石萌歌)はある日共通の趣味を持つ書道部の門司くん(細田佳央太)に出会う。門司くんと過ごすとある日の勢いで幼い頃に別れた実の父親(トヨエツさん)を探し出し、会いに行くことになる。ひと夏の物語。

笑って泣いて、楽しみました。原作読んでないのですが、こんなに面白いのかな。沖田さんらしいネタが満載でずっとニコニコ見ちゃいました。普通の人が全然出てこず、登場人物みんなどっかズレたキャラの面白さ。ファンタスティックな設定にどんな展開になんねやろってワクワクな面白さも。加えて上白石さんにとって10代最後の夏に撮影したそうで、とにかく眩しい!キラッキラです。実の父親への感情も門司くんへの感情も揺れ揺れで、流れる涙が美しくっておじさんもらい泣き、ええいああです。一見ハツラツと部活に打ち込む青春ど真ん中な明るい子が実は溜め込んできた孤独な顔があって、今までの自分と家族に向き合う夏なんですね。夏い。

もちろん10代20代の若者に観てもらって希少性のある夏を感じてもらいたいけど、40代おっさんとしてはトヨエツさん演じる実の父トモミツの方にもココロ乗り移ってしまうんですね。おっさんにはおっさんの夏があるわけで、おそらくトモミツにとっても忘れられない夏なんです。物語の終盤に向けてそれをさりげなく感じるシーンがいくつかあって、しんみりキタなあ。時折くる1カットFIX長回しが"時"を感じさせてくれて、最高す。

最後の方の演出はエンタメを意識したかな?って濃いめの味付けになっており、実はその周辺だけ私の好みではなかったけど、沖田さんの映画愛とか原作へのリスペクトだったのかなと理解しました。

話は戻りまして、上白石さんこれからさらに色んな映画出て活躍する女優さんだと思う。"薬師丸ひろ子=セーラー服と機関銃"だったり"原田知世=時をかける少女"みたく、女優さんの永遠に色褪せない伝説の1本ってあって。もしかしたら彼女にとってはこの映画がそれなのかなあって。そんなこと言うたら映画って全部誰かのそういうもんじゃんってツッコまっれそうだけど、そんくらい彼女が眩しく輝いて見えた夏物語でしたよ。8月末のナイスタイミングで見て良かった。現時点で今年の邦画1位に躍り出たと思います。

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