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映画「小さき麦の花」

監督:リー・ルイジュン

中国のとある農村。貧しい農民のヨウティエと障害のあるクイインは2人とも家族から厄介払いされ半ば強引に見合い結婚させられる。2人が相棒のロバと共に作物を育て家も建て、質素ながらも自分たちなりの生活を送り絆を深めていく物語。

鑑賞中2度涙がこぼれてしまいました。私の涙腺は年々弱めなので皆さんも泣けるかは分からんすけどw セリフも音楽も少なく淡々と進む物語なのに133分がとても短く感じたのはそれだけ2人の人生から目が離せなかったのでしょう。クイイン役のハイ・チンさんは中国の国民的女優なのですが、ヨウティエ役のウー・レンリンさんは監督の叔父で本物の農民。他出演者も撮影した村の方々だそうで。そりゃドキュメントみたいな映像のはずだぜって思うと同時に逆にハイ・チンさんの芝居がめっちゃリアルに農村の暮らしに馴染んでるのは努力と演出の賜物だと思います。女優賞決定です。

※ご注意〜ここからネタバレ含んでしまいました。すいません。これから鑑賞予定の方は鑑賞後に読んでいただければ幸いです。

四季の美しさたくさん見れます

ヨウティエは兄の家でこき使われていた上に甥の結婚で邪魔者扱い、一方内気なクイインは障害を持っていて子供を産めない体で結婚できず兄の家の庭にある小屋で暮らしていた。そんな境遇の2人が結婚して空き家に住み、2人のペースでの懸命な暮らしは貧しくとも人生で初めて自由と幸せを感じていたのかもしれません。互いを思い合う様はとても優しい。過酷な環境でもコツコツ積み上げいく姿は強くてたくましい。動物と自然の中で喜びを見つける笑顔は美しいです。SEXやキスみたいなラブシーンがなくても2人ならではの愛が燦燦とこの身に降っていた私です。
が、、、、急激に奈落の底に落とされます。幸せな生活が終わりを告げてしまう。私の前の席のおばちゃんは「えっ?、、」と微かな声が出ちゃってました。いや〜わかる。

この結末は人の営みの宿命なんですよね。だからと言って悲しい映画、悲劇の物語とは思いたくありません。儚かったけれどもそこにあった2人の確かな幸せを忘れることはないのです。失せる物だから美しい。ここまで描き切ることが素晴らしいです。傑作と言ってよいでしょう!
そして忘れちゃならないのはロバwけなげな演技を終始見せてくれたロバくんに助演動物賞かパルムロバ賞をあげたいです。

優しさあふれる名シーン

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