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映画「セールス・ガールの考現学」

監督:センゲドルジ・ジャンチブドルジ

国立大学生で原子力工学を学ぶサロール。同級生に頼まれてアダルトショップでバイトを始めることに。ショップオーナーのカティアは高級住宅に住む金持ち熟女でどうやら有名人。サロールは1日の売り上げをカティアに届ける内に親密になり、今まで親の言うとおりに生きてきた自分がこのままで良いのか考えると共に性についても目覚めてくる。モンゴル映画。

これは発掘感ある。都会が舞台ってだけでもうモンゴルのイメージから遠くて新しい。随所にシュールな笑い。アダルトショップを訪れる性欲をたぎらせたヒト癖ある大人たちと冷めた理系女子大生のやり取りは滑稽でズルいw  所所で音楽を聴き始めるとアーティスト本人が歌うってMVのようなシーン!何あれw真似したい。お前が歌うんかい!のモンゴル版。

独特なコメディってだけじゃなく、物語の軸はサロールの変化・成長です。
バイトで出会ったカティアと過ごすと時折サロールに笑顔が見れるようになる。これが実に可愛い。冷めた表情からのギャップよ。オーディションで300人の中から彼女を選んだ理由はこのギャップぶりかしら。カティアの言動から刺激を受けて地味な女の子が日に日に美しい女性になっていく。1つの外的要因でビジュアルも変わってくのは年頃の女性あるあるでしょうね。見た覚えあります。大人になっていくサロールと対照的に熟女のカティアは過去に生きてる。様々悲しい経験をしてきて今の孤独っぷりも分かってくる。共鳴するのに年齢差は問題でなく、2人はお互いどこか支え合うような関係となったことを認識する。映画的にも最後にこの関係を振り返る流れなんですね。サロールからするともっと年月を経ると"自分を変えた恩人"として思い返すことでしょう。

初主演のバヤルツェツェグさん美しくて今後も見たいけど、、今作の輝きは唯一だと思う。これ以後の作品では得られない鮮度。実は私的には脚本や細部の演出で「なんでこうしたん?」て好みじゃないところもあった。でもね、減点法で見ちゃうともったいない。モンゴルの若者のリアルや風習を見れて、お初の笑いと素敵な女優さんの貴重なフィルムを堪能したので。いくつかのネガは吹っ飛ばすくらいに。加点法なら満点じゃろう。


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