見出し画像

映画「オマージュ」

監督:シン・スウォン

ヒット作を出せず行き詰まっている映画監督ジワン(演じるはイ・ジョンウン!パラサイトの家政婦役でお馴染み)に1960年代の女性監督ホン・ジュウォンの「女判事」という映画の欠落している音声を吹き込んで欲しいという依頼が来る。ジワンは作業を進めるうちに音声だけでなく一部のフィルムも欠落していることに気づきジュウォン監督の家族や関係者を訪ね映画を復元しようとする。 シン・スウォン監督の実体験がベースの物語。
いわゆるミステリアス社会派映画愛ヒューマン無常モノでしょうか。

ホン・ジュウォンの足跡を辿ると当時映画制作に携わっていた一握りの女性たちがどれだけ困難な状況だったか分かってくる。現代でジワン監督の置かれている状況と照らし合わせるんですね。監督として、妻として、母としての。行き詰まった自分の中に映画への情熱があるのかを問うように。

ジワンはジュウォン監督の親友でエディターだった女性イ・オッキを訪れる。現在のオッキが実に寂しい。田舎にひっそりと暮らし社会から忘れられたように映る。ジワンは自分が住む団地で人知れず自死していた女性についても気にかける。過去も現在も存在を忘れられた女性は身近にいるのだと。自分はどうか。映画を作り続けたい。先達女性の"影"は自分たちと繋がってる。だからジュウォン監督の「女判事」を復元して彼女の存在も世に残したいんですね、きっと。そんなセリフないけど。

ここ最近映画館が舞台だったり映画監督が主人公って映画が多くありますね。コロナも関係してるのかなあ。ミニシアターが閉館したり配信が増えたりって流れに対して"映画って素晴らしいやん、映画館て大切な場所やんな"
って映画そのものの魅力を再確認したいムーブメントが起こってるのかな。フェイブルマンズやエンパイア・オブ・ライトが賞レースで取り上げられるのも映画人の性ですかね。その辺もざっと鑑賞済みではあるんすけど、中でも私としては今作が最も好みでした。映画愛とか映画ルーツの自伝という以上に人間の根っこに触れてるというか。女性の方が感じるところはある物語ですが中年男性で映像業界にいる私の根っこも揺さぶられました。先人達の残した作品をしっかり見たくなるし、負けずに良いものを残したい。性別関係なく働きやすい環境で。感化されちゃったわい。女性監督とか女流作家て言葉を無くしましょう!まず。男性監督て言わないだろうが。ゴニョモニョ…

エンドロールの冒頭!ぜひ席を立たずに見ていただきたい。廃れた映画館に光る名前は先達へのリスペクトに溢れ、映画を愛する人の心をくすぐる素敵なアイディアでした。いつかしれっと真似したいと思いますw
まさにオマージュw


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?