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せっせと積読_3

今回も積読を消化していこうと思います。批判的吟味をきちんとするよりはメモ的に脳内の片隅に残しておければなと思いやっているものになりますので、ご参考程度にしていただければと思います。

①:フィットネスアプリの継続使用に影響する動機の調査*1

この研究では、モチベーション理論から、内発的動機と外発的動機に分けています。
・外発的動機:分離可能な結果 (経済的など) によって何かを行うこと
・内発的動機:本質的な満足のために活動を行うこと
また、クラウディング効果により、外発的動機には、内発的動機をクラウドイン(強化)の場合と、クラウドアウト(減少)の場合があるとしています。
この研究では、内発的動機と外発的動機の継続使用に対する影響、また、外発的動機と内発的動機の関連性を調べています。
結果としては、内発的動機としては、自己啓発・セルフコントロール・快楽的な動機付け、外発的動機としては、社会的承認、金銭的報酬が挙げられておりました。また、社会的承認や金銭的報酬は、内発的動機をクラウドインに働く可能性が示唆されておりました。
あまり読んだことのない分野の文献なので、このまま鵜呑みにしてはいけないと思いますが、外発的な動機をうまく盛り込みゲーミフィケーションを設計することで、健康系のアプリの使用継続につながる可能性があるのかもしれません。

②:ファーマシューティカルケアのQI(Quality Indicator)の定義*2

この試験では、ヨーロッパにおける対物から対人へのような形でファーマシューティカルケアの移行が行われており、ファーマシューティカルケアの測定を行うためのQI(Quality Indicator)の定義開発を行なっております。
定義に関しては、以下のように最終合意が形成されています。

ファーマシューティカルケアのQI(Quality Indicator)は、薬剤師が提供するケアの状況における構造、プロセス、結果を監視するための検証済みの測定ツールである

Kenji Fujita ,et al.2024;PMID: 37646963より引用・日本語訳

患者の意思決定支援:より良いリスクコミュニケーションのための10ステップ*3

この研究では、リスクとベネフィットの情報に対する患者の理解や意思決定を改善するために経験的に支持されている10の方法を取り上げており、複雑な情報を患者さんに伝える最善の方法についての推奨事項を提供してくれています。
10の方法に関しては以下のように書かれております。

1:簡単な言葉を使用して、書面や口頭資料をよりわかりやすくします。
2:絶対リスクを使用してデータを提示します。
3:グラフを含める場合は、情報をピクトグラフで表示します。
4:パーセントでなく頻度形式(100人中5人など)を使用してデータを提示します。
5:増分リスク形式を使用して、治療によってのリスクとベースラインのリスクを区別して強調します。
6:リスクと利点が提示される順序は、リスクの認識に影響を与える可能性があることに注意してください。
7:各治療オプションが多い場合、リスクと利点をすべて含む要約表の使用を検討してください。
8:比較リスク情報 (平均的な人のリスクがどの程度であるかなど) は、単なる情報提供ではなく説得力があることを認識してください。
9:完全性を犠牲にしてでも、患者の意思決定にとって最も重要な情報のみを提示することを検討してください。
10:リスクが発生する時間間隔は繰り返し患者の注意を引きます。

Angela Fagerlin ,et al.2011;PMID: 21931068より引用・日本語訳

これらは行動経済学的な視点からも似たような部分が多く、このような視点も考慮しながら、リスクの伝達、資料の作成などを考えていけるといいのかもしれません。

【参考資料】
*1:Jialiang Huang ,et al. 2024;PMID: 38268805
*2:Kenji Fujita ,et al.2024;PMID: 37646963
*3:Angela Fagerlin ,et al.2011;PMID: 21931068


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