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202405_読自録

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム

本を読んで、その時勉強になったなと思ってもすぐ忘れてしまっていることが多いので、自分なりの要約や個人的な感想やメモを残して置けるといいかなとこのような形で取り組んでみようと思います。
今回挙げさせていただいている本書は、最近聞いているゼロトピでも紹介されておりましたので読んでみようと思いました。

個人的に印象に残ったざっくり要約

ジョブとは

顧客はある特定の商品を購入するのではなく、進歩するために、それらを生活に引き入れている。この「進歩」のことを、顧客が片づけるべき「ジョブ」と呼び、ジョブを解決するために顧客は商品を「雇用」するという比喩的な言い方を本書ではしています。
ジョブの基本定義は以下の様な形であげられております。

・ジョブとは、特定の状況で人あるいは人の集まりが追求する進歩
・成功するイノベーションは、顧客のなし遂げたい進歩を可能にし、困難を解消し、満たされていない念願を成就する。また、それまでは物足りない解決策しかなかったジョブ、あるいは解決策が存在しなかったジョブを片づける。
・ジョブは機能面だけでとらえることはできない。社会的および感情的側面も重要であり、こちらのほうが機能面より強く作用する場合もある。
・ジョブは日々の生活のなかで発生するので、その文脈を説明する「状況」が定義の中心に来る。イノベーションを生むのに不可欠な構成要素は、顧客の特性でもプロダクトの属性でも新しいテクノロジーでもトレンドでもなく、「状況」である。
・片づけるべきジョブは、継続し反復するものである。独立したイベントであることはめったにない。

明確に定まった「片づけるべきジョブ」は、動詞と名詞で表現できる、とされており、「便利な」「美しい」などがついている場合は、特定の状況に落とし込めておらず、抽象度が高くより具体的な言語化が必要だということかと思います。

ニーズとジョブの違い

ニーズはトレンドに似ている、方向性を把握するには有益だが、顧客がほかでもないそのプロダクト/サービスを選ぶ理由を正確に定義するには足りない。
一方、ジョブは、はるかに複雑な事情を考慮する。そのときの特定の状況で作用するニーズが集合したものである。そのなかには、たんなる機能的あるいは実用的なニーズだけではなく、社会的・感情的なニーズもある。

ジョブの理解

ジョブの理解には、特定の状況で進歩を遂げようと苦心している人の短編映画の妄想が役立つと説明されています。

1その人がなし遂げようとしている進歩は何か。求めている進歩の機能的、社会的、感情的側面はどのようなものか。
2苦心している状況は何か。誰がいつどこで何をしているときか。
3進歩をなし遂げるのを阻む障害物は何か。
4不完全な解決策で我慢し、埋め合わせの行動をとっていないか。ジョブを完全には片づけない商品やサービスに頼っていないか。複数の商品を継ぎはぎして一時しのぎの解決策をつくっていないか。
5その人にとって、よりよい解決策をもたらす品質の定義は何か、また、その解決策のために引き換えにしてもいいと思うものは何か。

これらの問いでジョブを具体化することができ、ジョブを理解していない企業は、「ひとつですべてを満足させる」万能の解決策に惹かれがちで、結局誰も満足させることができない。n=1フィットをどれだけ見出し、ユースケースを特定できているかが大事なポイントなのかと思います。

ジョブの見つけ方

1生活に身近なジョブを探す
2無消費と競争する
3間に合わせの対処策
4できれば避けたいこと
5意外な使われ方

ジョブハンティングで大事なのは、どの技法を使うかではなく、どういう質問をするのか、そして答えとして得られた情報をどうつなぎ合わせるかにある。ジョブがあっても、雇用していないような潜在顧客の場合、自分のレンズに従った探し方ではスルーしてしまうことも多いのかと思います。あらゆる状況に応じて、上の5つの視点から自分のプロダクトとつなぎ合わせる思考を持っておく必要があるのかなと思います。

ビッグ・ハイアとリトル・ハイア

企業はビッグハイアである商品を購入する時に注目しがちだが、商品を消費するリトルハイアも大事になる。
データはとくに、ビッグ・ハイア(顧客がなんらかのプロダクトを買うとき)だけを重視し、リトル・ハイア(顧客がなんらかのプロダクトを実際に使うとき)を無視している。
顧客の片づけるべきジョブを中心に組織全体をまとめるには、予測可能で反復可能なプロセスがなければならない。
マネジャーは、顧客が求める体験のどの要素が最も重要かを問い、それのパフォーマンスを追跡する測定基準を定めておくべきである。
特にSaaSなどでは、購入ではなく、チャーンを見ていくかと思いますが、それをさらに昇華している様な形かなと思いました。契約数を見ていくのではなく、チャーンレートでもなく、使用している時のどの定量・定性的なデータを見ていくべきか、どれがどのパフォーマンスに紐づくものなのかを定めていく必要性がある、ということかと思います。

ジョブを見失わない

プロダクトが売れるようになると、急にみんな顧客のジョブから目を離し、自分のジョブが中心になっていってしまう。解決するジョブより売り出すプロダクトに関心が移ってしまう。
・能動的データと受動的データの誤謬
・見かけ上の成長の誤謬
・確証データの誤謬
ジョブを解決するために必要な情報は、顧客が苦労している文脈のなかにある。そのような情報は声をあげず、はっきりした構造もなく、推進者もおらず、行動計画もないことから、われわれは「受動的データ」と呼ぶ。
乱雑な受動的データにくらべて、堅固で具体的な能動的データの世界は居心地がよく、マネジャーに安心感をもたらす。
企業が大きな投資をおこなうとき、顧客に売るプロダクトの数を増やしたり、解決するジョブの種類を広げたりして、成長を勢いづけようとしがちだ。これをわれわれは「見かけ上の成長」と呼んでいる。見かけ上の成長は、中核のジョブを丁寧に解決していく状態とは正反対に位置する。
データには、確認したい観点にみずからを同調させるという悩ましい性質がある。マネージャは、データをアイデアを引き出すための道具としてではなく、自分の意見を補強するために利用するときがよく見られる。

本書からの学び

本書ではミルクシェーキの例も冒頭に挙げられており、朝方の通勤時間のいくつかのニーズ(冷たい、すぐ溶けないなど)を集約した飲み物であったり、夕方の子供への父親としてのニーズを満たしたご褒美としての飲み物であったり、複数のジョブが、一つのミルクシェークというプロダクトに混在しています。
イノベーションを起こすためには、取り掛かろうとしているプロダクトに関するいくつかのジョブを特定する必要があり、その中で中核となるジョブはなんなのか、中核に近いジョブ群の中で、アトミックネットワークがそれぞれ形成されていき、連鎖反応が出てくると、キャズムを越えることができるのかなと思いました。もしくは中核となるジョブに内包されるニーズの中に、バーニングニーズがある場合、n=1がバルクケースに昇華していく可能性もあるのかと思います。
現状、雇用してもらえている、プロダクトやサービスは、どのような進歩を顧客にもたらしているのか、また、使用してもらえている時というのはどの様なリトルハイアで、それらは数値化できているものなのか、受動的なデータをとりにいく体制はできているのかなどを検討していくことが大事なのかと思いました。

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