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東大 vs 京大 vs 一橋大 vs 東工大の学力比較(大学の最下位合格の統計分析⑨)

趣味の統計分析で、共通テストリサーチのデータを用いて、大学の合格最下位の学力の分析を行っています。今回は、東大・京大・一橋大・東工大(東京一工)の比較を行います。

分析の前提の考え方などは、最初の記事を参照してください。なお、これまでの分析で、東大理三と京大医医は共通テストリサーチでは正しく評価できないことが見えてきたので、今回の分析対象から除外しています。

0. まとめ

  • 東京一工の学部・学科別に、最下位合格、中央値、上位5%の共通テスト偏差値を用いて、学力を複合的に比較すると、文系は東大>京大>一橋となるが、理系は東大>=京大>=東工大となった。

  • 理系は文系よりも入り乱れている。特に京大理系は指標によって順位が異なり、東工大が京大の中に食い込む形となっている。

  • 東大の文一と文二を比較すると、最下位合格は文二 > 文一だが、中央値と上位5%は文一 > 文二であった。ネットでは東大文一の凋落が言われているようだが、文系の学力最優秀層の厚みは今でも文一>文二のようである。

  • 一橋大と東工大では、東工大・情報 > 一橋大 > 東工大・その他となった。以前の記事にも書いたとおり、理系は国公立医学部医学科に流れる学力優秀層が一定数存在するので、情報理工以外の東工大は上位層が薄くなってしまうと考えられる。

1.  東京一工の集計結果の概観

共通テストリサーチ結果から推定される東京一工の学力レベルは、一覧にするとこの表のようになります。トップではなくて上位5%にしているのは、5年平均とはいえ、トップの1人だけだと変動幅がありそうなので、一定ボリュームで比較すべく、上位5%のラインとしました。

表1

この一覧表から、共通テスト偏差値の最下位、中央値、上位5%をグラフに表現すると、このようになります。最下位合格の偏差値の順番に並べています。

グラフ1

これを見ると、東大(ブルー)が左に寄っている一方で、京大(グリーン)は学科によって、幅広く散らばっていることがわかります。一橋(イエロー)と東工大(オレンジ)は中央から右寄りに混在しています。

また、中央値や上位5%の偏差値は凸凹していることも見て取れます。例えば、左から3番目の東大文二は、最下位合格の偏差値は右隣の東大文一より上ですが、中央値も上位5%の偏差値も東大文一より下になっています。

この4つの大学の学力の比較は、最下位合格の偏差値だけでなく、中央値や上位5%の偏差値も交えて、複合的に比較する方が良さそうです。そこで、共通テスト偏差値の合格最下位、中央値、上位5%の3つの軸で、文系と理系に分けて東京一工を比較してみます。

2. 文系の複合比較

東大文系、京大文系、一橋大の学部・学科を、合格最下位、中央値、上位5%のそれぞれで、共通テスト偏差値の高い方から並べたのが、この表の左から3つです。一番右は3つの指標の順位の平均値です。

表2

これを見ると、次のことがわかります。

  • 東大文一と文二は必ず2位以内に入っている。

  • 最下位合格は文二>文一だが、中央値と上位5%は文一>文二で、総合でも文一>文二。文一の凋落が言われるが、学力最優秀層は文一に今なお厚みがある。

  • 最下位合格と中央値は、一橋・法が京大法より上だが、上位5%は逆転する。

  • 右端の平均順位を見ると、概ね東大>京大。一橋は下4つを固めている。

文系は概ね東大>京大>一橋になっている印象です。

3. 理系の複合比較

東大理系、京大理系、東工大の学部・学科を、文系同様に並べ替えたのがこちらの表です。

表3

この表からは次のことがわかります。

  • 東大理一、京大工・情報、東大理二が不動のトップ3。

  • 京大理系の学部・学科は指標によって順番が変わる。

  • 東工大・情報理工が京大理系の中位に食い込む。

  • 京大理系の下位学科と東工大の上位学科が入り乱れる。

理系は文系ほど綺麗に並んでおらず、京大は上下に糊しろをもって、東大>=京大>=東工大という形になっているようです。

4. 一橋大 vs 東工大

せっかくなので、一橋大と東工大も同じ分析をしてみました。

表4

左端の最下位合格だけは、2つの大学が入り乱れながら、少し一橋の方が上という感じです。中央値と上位5%は、東工大・情報理工 > 一橋大 > 東工大・その他で固定化されています。結果として、右端の平均順位もこの順番となっています。

以前の記事でも書いたように、理系は国公立医学部医学科に流れる学力優秀層が一定数存在しています。東工大の上位層と同等の学力を持つ優秀層は、関東・中部・関西の地方国公立大の医学部医学科に流れており、一橋大の上位層よりも厚みが薄くなっているのだろうと考えられます。

5. 最後に

色々な指標で複合的に分析してみましたが、過去に行った学力上位○%の分析とほぼ同じ結果となりました。元データが同じなので、当たり前のことですね。

共通テストリサーチでの分析は、そろそろネタが尽きてきました。次は模試判定を用いたモデルで、早稲田・慶應の学力を見ていこうと思います。

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