どうなる?「燃料電池車と内燃機関車に未来あり」

2021年4月28日。
ご存じの方も多いと思うが、日本自動車工業会(JAMA)がカーボンニュートラルに関する声明を22日に発表した。豊田章男会長は「今、日本がやるべきことは技術の選択肢を増やしていくことであり、規制・法制化はその次だと思います。最初からガソリン車やディーゼル車を禁止するような政策は、その選択肢を自らせばめ、日本の強みを失うことにもなりかねません。政策決定におかれましては、この順番が逆にならないようお願い申し上げます」と述べ、国内でにわかに活発化してきた内燃機関車禁止論議に一石を投じた。

正直なところホッとした。最近のメディア報道を読んでいて、英国などの内燃機関車販売禁止方針に日本も追随するような雰囲気を感じていたからである。環境政策的にみて内燃機関車にまったく未来がないのであればいざ知らず、環境に優しい水素ベースの合成燃料を商業ベースに乗せることができればまだまだ活用の余地がある以上、この可能性を頭ごなしに否定することは、日本の強みをみすみすドブに捨てるようなものである。危機感を抱いた筆者は昨年12月、「燃料電池車と内燃機関車に未来あり」と題する記事を本誌に掲載した。今回のJAMAの声明をきっかけにバランスの取れた議論が行われるようになることを期待している。

ただ、内燃機関車の市場シェアが大幅に減ることも念頭に置いておかなければならないだろう。電気自動車の低価格化・高性能化が今後、一段と進めば、需要のシフトが起こるのは避けられないためだ。CSAEを背景に経営資源が限られるなかで内燃機関車を新規開発するゆとりは限られるという事情もあり、関連各社が難しい選択を迫られているという状況は変わらない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?