2022年10月12日

先週の日曜日は天気が良かった。日曜の快晴は猛暑渇水の夏以来ではなかろうか。これまで閑散としていた自転車歩行者専用道も人出が多かった。心地よい秋の日を満喫したいと思うのは皆同じだ。

筆者はワインの産地で有名なホーホハイムまで自転車で行ってきた。マイン川沿いにあるが、ドイツのワイン法では「ラインガウ」に産地区分される(ちなみにフランクフルトもラインガウに“無理やり”入れられている。市北東部のローアベルクにある小さなワイン畑がそれである)。
ホーホハイムの小高いワイン畑は眺めが良い。そそくさと通り過ぎるのはもったいないので、ギアを落としてゆっくり走った。畑の下方にマイン川がキラキラ輝き、遠くにはお隣ラインラント・ファルツ州の丘陵地帯が広がっている。大聖堂の街マインツは存在感がある。

収穫はほぼ終わっていた。一部の木に残っていた房を見ると、少しカビが生えていた。おそらくデザートなどで飲む貴腐ワイン用だろう。一粒一粒が貴重な“宝の原石”である。失敬などはせず写真に収めるだけで満足した。
街中に入ると発酵の甘い香りが漂ってきた。ワイン産地の秋の風情である。アルコールを飲めない人でも心地よく感じるだろう。飲食できるワイナリーもある。賑やかな人声につられて目を向けると屋外の座席はすっかり埋まっている。

観光地で有名なリューデスハイムなどと違って落ち着いた街だ。フランクフルトからは自転車で2時間ほどで行ける。鉄道の場合は近郊電車S1を利用。進行方向右側の斜面をランドマークの教会を目指して歩いていけば、そのすぐ先に街がある。自転車で行き、飲んだ帰りはS1を使うというのも良いかもしれない。
アウトバーンに近いため、デュッセルドルフやシュツットガルトからも車で日帰りできる。帰りの運転があるためワインを飲めないという人には、名門ワイナリー「キュンストラー」が門前に設置した自動販売機の利用をお勧めする。自販機は味気ないかもしれないが、ワインの自販機は珍しい。土産話になるだろう。

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