ストックから取りだせない
歩いているとき。
電車に乗っているとき。
車のなかから窓ごしに外を眺めているとき。
なにか思いついてあとで書こうと思っていても、いざ文章にしようとするともう思い出せない。
そのわりに、ぼーっと考えていたときの景色や空気だけは覚えていたりする。
その場でメモすればいい話なのはわかっている。
思いついたときはイメージが鮮明なので、忘れるわけがないと思ってしまう。
あるいは忘れてしまうことなら書くほどのことでもないだろうと。
大してアイデアが出てくる頭でもないのに傲慢なものだ。
そのときにわざわざメモするのがめんどうなだけだ。
それでも自分の思考回路はそんなに変化しないのだから、そのうち「鍵」さえ見つかれば、あのときの空気ごと、周囲の空間からするりとアイデアを取り出せるんじゃないか、と期待している自分もいる。
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