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自分の当たり前が、他人の憧れかもしれない。映画「はい、泳げません」を見て。

長谷川博己さん主演、綾瀬はるかさんがメインで出演されている映画「はい、泳げません」を映画館で見ました。パンデミックになる前は最低週1回は映画館に足を運んでいた僕にとって、約1ヶ月ぶりの鑑賞作品。とても良い作品でした。

映画とは関係ない話だけど、僕は映画が好きなくせに、その作品の感想を伝えるのが下手だ。でも、この映画を観た後「あ、この気持ちを文章化したい」と思った。たとえ自分が下手だと思っていても、誰かにとってはそれが伝わる文章かもしれない…そんな気持ちを与えてくれる、あたたかい映画だったから。

「もし僕が溺れたらどうなりますか?」
「大丈夫、私が助けます」
映画『はい、泳げません』公式サイト

僕は綾瀬はるかさんが大好きだ。特に彼女の声に惹かれる。強く芯があり、それでも温かく包み込んでくれるような柔らかさも含んだ魅力的な声…本作での彼女は"静香コーチ"と呼ばれる、水泳コーチという役柄。優しく、時には厳しく、その凛とした声で頼もしく指導してくれる。

長谷川さん演じる主人公、小鳥遊雄司(たかなしゆうじ)は、泳げない。当たり前のように泳げる静香コーチのことを凄いと思うけど、静香コーチは外を歩くのが怖いと言う。水に入るのが怖い人と、陸を歩くのが怖い人…対照的な2人が関わり合うことで、少しずつトラウマを受け入れて共に前に進んでいく。そんな心のストレッチを促してくれるような作品でした。

「はい、泳げません」の存在を知ってあらすじを読む前、始めはコメディだと思っていた。泳げない主人公のことを小馬鹿にしながらも、温かな展開が待っているコメディ映画。しかし本作ではクスッとくるような場面も多いが、静香コーチは決して泳げない人のことを馬鹿にしない。言葉では厳しくても、「泳げないならこうしましょう」と親身に、できるまで丁寧に導いてくれる。

それを見て僕は「いくつになっても、できないことはない」と、今まで諦めていたことに再び挑戦する勇気を貰いました。少しずつ、少しずつ。小鳥遊先生が何度挫けても泳ぎ続けたように。

そして、静香コーチと同じように、自分が得意なことを誰かに教える時、その人を馬鹿にするようなことはしたくないと思った。僕もきっと、歳をとって何かに挑戦する時、誰かにそうして貰えたら嬉しいだろうから。

この映画は「新しい何かに挑戦する人」「過去諦めたことに心残りがある人」に見てほしい。きっと静香コーチが、あなたの心を後押ししてくれる。

余談だけど、この映画では様々な言葉の語源や、思想に関する知識も教えてくれる。今まで知っていた言葉の、新たな一面を知ることができて新鮮だった。特に"リハビリ"がラテン語で「再び自分らしく生きる」という意味を持っていたのが素敵だなと思った。

再び自分らしくなれるために、明日からも生きていこう。1人ではなく、自分が大切だと思える人と支え合って。

■あらすじ
大学で哲学を教える小鳥遊雄司(たかなしゆうじ)は、泳げない。水に顔をつけることも怖い。屁理屈ばかりをこねて、人生のほとんどで水を避けてきた雄司はある日、ひょんなことから水泳教室に足を運ぶ。訪れたプールの受付で、強引に入会を勧めて来たのが水泳コーチの薄原静香(うすはらしずか)だった。静香が教える賑やかな主婦たちの中に、体をこわばらせた雄司がぎこちなく混ざる。
その日から、陸よりも水中の方が生きやすいという静香と、水への恐怖で大騒ぎしながらそれでも続ける雄司の、一進一退の日々が始まる。
泳ぎを覚えていく中で雄司は、元妻の美弥子との過去や、シングルマザーの恋人・奈美恵との未来など、目をそらし続けて来た現実とも向き合うことになる。それは、ある決定的な理由で水をおそれることになった雄司の、苦しい再生への第一歩だったーー。
映画『はい、泳げません』公式サイト

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