飽きずに独学研究を進めていくには?

「飽きることなく、ドロップアウトしないで、程よく知的好奇心を満たしつつ、研究の目標に辿り着くにはどうすればいいか」

 なかなか難しい問題ではあります。これは現役研究者に聞いても「よくある」「難しい」というのではないのでしょうか。

実際、ある段階に入ると「欲しいデータがするっと入らなくなる」「わかっていた事がつもりであった」などというスランプ的なゾーンに陥るからです。
 
 ここに陥ると「1日がかりで資料見つけてもまるでわからず」「ずっと謎のまま」といったデバフがついてしまいます。
 
 しかし、そうしたデバフは結構先の事であり、今は未だ述べません。まずは知的好奇心をならす方法、そして飽きずに次の段階へ進む方法を考えてみましょう。

「ドロップアウトしないためにはどうすればいいか」

そんな問題に対しての対策法は色々あるとは思いますが、以下のことなどはメジャーな手法でしょう。

〇本や資料を全部読まない。好きなページだけ読む。
〇年代順や順番でやる必要はない。
〇好きな資料を率先して読む。必ずしも原典から手がける必要はない。

最初から簡単に説明してみましょう。

〇本や資料を全部読まない。好きなページだけ読む。

 これは意外に思う人もいるかもしれません。実際に見たこともあった事もあります。

 その人たちの言い分を聞くと――

「本を買ったり借りた以上、最初から最後まで読み通さないといけない気がする」
「最初から読まないとわからないのでは?」

 みたいな答えが来ます。
 
 確かにその答えは間違いではありません。確かに頭から最初から読まないとわからないものは多々あります。

しかし、それもまた「一握り」であります。「全部読まなきゃいけない」といった固定観念は独学研究の開始とともに捨ててください。
 
『全部読まなきゃもったいない? 最初から読まないと駄目な気がする?』
 
 そんな事はありません。むしろ、自分の知りたいことの範疇外の事にうだうだと悩んでいる方がよっぽどの無駄です。時間の無駄でもあり、労力の無駄でもあります。

 別に必要のない箇所なんざ読む必要などないのです。全く相手にしなくったって構わないのです。
 
 もっとも、それは研究書やエッセイ、全集とかに限ります。最初から読まないとストーリー展開のわからない小説やサスペンスでやるのはやめましょう。

 あの手の作品は最初から読む前提で作られているため、最後から読んで理解できないのは当然です。こんな事は常識かもしれませんが、念のために言っておきます。

「好きな物だけ読む」という感覚は、新聞、週刊誌や月刊誌の連載を取捨選択する感覚に近いところがあります。皆さんもこれなら経験があるのではないでしょうか。

「自分はジャンプのワンピースと呪術以外興味がないから、真っ先にそれを読むが残りの連載はロクに読んでない」
「色々な連載があるけど○○先生の連載以外はあまり熱を入れずに読まない」
「週刊雑誌を買うけど、小説と数人の連載コーナーしか読まない」
「新聞は一面と芸能欄と天気欄と訃報と漫画しか読まない」

こんなのはよく聞く話です。なるほど、ヘビーユーザーなら隅から隅まで読むかもしれませんが、すべてのユーザーがそうしている訳ではないのです。

「隅から隅まで読まない奴は読書家でもファンでもない!」

 こんな事を云われて納得する人は少ないと思います。悪く言えば過激な所さえ感じます。そうした読み方をしなくても本は本、新聞は新聞です。

 たかだか数ページの記載を読むだけで、漫画の一つを追うだけでも、その時点で本や雑誌は立派な機能をしているのです。

 そして、その機能は独学研究で必要な資料にも言える事です。

 我々が好きな漫画や連載しか取捨選択して読むように、研究資料も「必要な点だけ読めばいい」のです。最初から最後まで読み通して、どうこうという必要は全くないのです。

 ただし、一つだけ重要な注意点を述べておきます。「好きなページのみを読む」という論法は万能ではありません。

 本当に知識がない場合、入門書や絶対に避けて通れないような名著・資料の場合はある程度腰を据えて読む事は大切です。何でもかんでもつまみ食いすればなんとかなるものではありません。

 いわば、中心となる資料――バイブルとでも申しましょうか。叩きこむべき知識は叩きこむべきである、通すべきところはしっかりと筋を通さねばなりません。

 大黒柱が全く駄目だと、どれだけ立派な知識や理論を身に付けたとしても、すぐに剥がれ落ちてしまいます。

 ここでいう「好きなページだけを読む」というのは、あくまでも二次的な本や参考資料といっておくべきでしょうか。

 まず知っておくべき基本的知識や前提条件は、どんな簡単な本でも学生向けの本でもいいのでしっかりと読んでおきましょう。

 これは何事にも言える事です。野球をプレイするのにバットとミットの使い方を知らない、ストライク・ボール・アウトを知らない等といったら恥をかきますし、サッカーで一般選手が手を使おうものならゲームそのものを崩壊させてしまいます。

 ゲームだって基礎的な動作を知らなければそのゲームの世界観にのめり込むことはできないでしょう。

 それと同じで、本当に基礎的な、必要な部分はしっかりと筋を通しておくべきです。「必要な所を必要な場所だけ採録する」のは、その筋を通し終えた後です。

 その筋さえ通してしまえば、後は自分の欲しい情報一直線で構いません。

 義務感や強迫に追われているとするならば、それはすぐに直すべきことです。何度でも言いますが、「別にすべて読む必要はない」「好きな項目だけ読めばいい」、これでいいのです。

東京漫才のサイト

https://tokyomanzai0408.com/

上方漫才のサイト

https://kamigata-manzai-shi.com/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?