F値、SS、ISOの3つについて
初めましてむろふしです。今回はカメラでよく見る重要な3つの数字
「F値」「SS(シャッタースピード)」「ISO」
について私なりに詳しく説明しようと思います。これからカメラを始める方、より詳しく知りたい方の手助けになれば幸いです。
(掲載画像をタップすることで出典元に飛ぶことができます。)
F値
まずはF値についてですが説明するにはまず、光を通るレンズの仕組みを理解する必要があります。
レンズの仕組み
光を通るレンズには当然ながら穴が空いています。この光が通る穴の大きさこそがF値なのです。「F」とは焦点(ピント)の``focal``から来ています。
このF値はレンズの中の「絞り」と呼ばれる穴の大きさを変える羽によって変えられます。
F値の定義についてですが
「焦点距離(レンズの画角)」÷「有効口径(光の入る穴の直径)」によって求めることができます。レンズが大きければ大きいほど光の通る量が増え、明るく撮ることができます。
F値を変えると
F値は数字が小さいほど明るく、大きいほど暗くなります。(以降F値の数字が小さいことを「明るい」数字が大きいことを「暗い」といいます。)これは穴が通る光の量が変わるためです。単焦点レンズ(ズームできないレンズ)はF値が明るく設計されているため夜でも明るく撮ることができます。
余談ですがF値が小さく明るく撮れることを「速い」という事があります。これは後述するシャッタースピードを明るい分早く出来ることから言います。
他にもピントの合う範囲(焦点深度)やボケの量が変化します。
ボケと焦点深度
ボケこそカメラで撮る魅力の一つです。ボケとはピントの合わない部分の事を指すのですが、F値を明るくすることでピントの合う範囲が狭くなります。なのでF値が明るいとよくボケます。ただし複数の人を撮る際などは注意が必要です。F値が明るくピントの合う幅が狭いと、人の顔によってピントの合う合わないが生じてしまうからです。ピントが合ってほしい範囲を増やすために、F値を暗くしましょう。
ボケについて詳しく話します。ボケの量を簡単に増やすには
・近づく
・望遠レンズで撮る
の2種類があります。ピントの合う場所と合わない場所の距離こそボケの量に関係してくるのです。ポートレート(人物撮影)を例に説明しましょう。
背景をたくさんぼかしたい!というときには被写体(今回は人)をできるだけカメラに近づけ、背景をできるだけ遠い場所にしましょう。
近づけないし望遠レンズでもないし距離の差を稼げない!ってときにF値が明るいレンズを使うのです。
F値を暗くするメリット
F値が暗い時ってピントが合いやすい以外なんかメリットあるの?と思う皆様、実は強力なメリットがあるのです。それは「解像力が上がる」ことです。
光の通るレンズの穴の大きさは筆の太さと同じです。レンズの穴が大きいほど筆は太くなり、小さいほど筆は細くなります。筆が細くなればなるほどより繊細な絵を描く事ができます。つまりF値を暗くすればするほど繊細な写真になります。
…ところがそうはうまくもいかないものです。暗くしすぎると生じる回折効果により逆に繊細じゃなくなります。ここでの説明は省くので気になった方は以下のサイトをご覧ください。
SS(シャッタースピード)
SS(シャッタースピード、以降SSと省略します)は何秒間光を捉えるかの数値になります。この数字が長いほど明るく、短ければ短いほど暗くなります。
シャッターの仕組み
そもそもシャッターとは?スマホのカメラと一眼レフとは決定的に違う点です。
一眼レフの中にはシャッター幕というものが存在します。この幕がめちゃくちゃ速く降りることで光を一瞬だけ入れるのです。一眼レフのシャッター音がうるさいのと特有の振動がするのはこのシャッター幕が降りることによるものです。
SSを変えると
SSは光を入れる秒数で表されます。(光を入れる秒数が短い=シャッター幕が速く降りる そのためSSが短いことを「速い」といいます。)
SSが速いほどブレのない、一瞬を切り取ることができます。特に速く動く電車や動物などはSSが速いほどブレがなくキレイな写真が撮れますが、光の入る時間は少ないためその分暗くなってしまいます。
SSが遅いとブレやすくなってしまうのですが「流し撮り」という動く被写体を線にしたり、暗い中でも明るく撮る事ができます。
例えば星空はSSを11秒で撮影します。こんな長い時間手ブレせず撮るのは難しいのでSSが遅いときは三脚や地面に置いて撮影しましょう。
最適なSS
ところで最適なSSについてご存知でしょうか?ブレのない写真を撮るにはSSをいくつにすればいいのか簡単に分かる方法があります。
それは「1÷焦点距離」です。例として50mmの焦点距離であるレンズで撮影するとしましょう。計算式は「1÷50」となるためSSは「1/50」になります。カメラ側でもSSは分数で表示されます。分母に焦点距離を入れるだけでブレのない最低限度のSSが分かる!便利な数式です。
しかし最近のカメラはレンズや本体に搭載された手ぶれ補正が優秀なので実際にはもう少しSSは遅くても手ブレしません。
ISO
ISO…普通に生活していればあまり聞かない単語です。ISOとはセンサーが受ける光の感度のことです。このISOが大きければ大きいほど少ない光を増幅し明るく撮る事ができるのです。
ISOを変えると
先述した通りISOの数字は大きくなればなるほど明るく撮れるのですが…代償としてノイズが増えてしまうのです。センサーが受けた光の電気信号を増幅する過程でノイズが発生するのが写真に影響してしまいます。(写真の暗い部分にカラフルなドットが発生することをそのままノイズといいます。)
そんなISOにもノイズが減る以外にも数字を小さくしておくメリットがあるのです。
明暗の最大から最小
始めたばかりの方は読み飛ばして大丈夫です。
皆さんはHDRという言葉をご存知でしょうか。映像の分野でよく聞くと思いますがHDRとは「ハイダイナミックレンジ」の略で要約すると「明るいところから暗いところまでしっかり写すよ」ということです。このダイナミックレンジこそ大きいカメラで撮る強みとも言えます。
一般的な一眼レフ(35mmフルサイズセンサー)ではISO感度の最低値は100に設定されていて最高値は25600~51200であることが多いです。この最低値100のとき、ダイナミックレンジは15段分あります。(段数が多いほど明暗をたくさん保存できる。)逆に最高値の25600では7段まで減ってしまいます。ISOが低ければ低いほど明暗の差をたくさん保持でき、白飛びや黒つぶれしない写真を撮ることができます。
RAWと編集
しかし、一般的な画像ファイル形式「JPG」で保存できるダイナミックレンジは7段しかないため、大抵の方は気にせずISOを大きくして大丈夫です。気にしてほしい方はズバリ「RAW形式で保存し写真を編集する人」です。
RAWはJPGとはファイル形式が違い、データ容量が大きい分、光を捉えたデータを生のまま保存するためRAW(生)なのです。(JPGはダイナミックレンジを保存しないおかげでデータ容量が軽く取り扱い易い)
このファイル形式であればダイナミックレンジをJPG以上に保存できるため写真編集において非常に有効です。
例えば、白飛びしてしまった風景写真があるとします。JPGでは明るすぎる部分と暗すぎる部分は情報を捨ててしまうため写真編集で明るさを下げても白飛びした部分はノイズの写真になります。しかしRAWのダイナミックレンジならば白飛び、黒つぶれした部分も保持しているため、後から明るさを変えることで調整が可能なのです。
ですが、最初から適正な明るさで撮ることが大事です。ISOを下げなきゃ…と意識せずその時々に合わせ変えていきましょう。JPGとRAWの違いについては編集ソフトで有名なAdobe社のサイトを参考にしてください。
まとめ
F値
F値とは光の通る穴の大きさ。レンズの「絞り」で調整する
F値の数字が小さいほど…明るい、ボケる、ピント範囲が狭まる
F値の数字が大きいほど…暗い、ボケない、ピント範囲が広い、繊細になる
SS
SSとは光の入る時間。カメラ内のシャッター幕が調整する。
SSが速いほど…暗い、ぶれない
SSが遅いほど…明るい、ぶれる、流し撮りできる
ISO
ISOとはセンサーの感じる光の量。電気信号を増幅して明るくできる。
ISOが小さいほど…暗い、ノイズが少ない、ダイナミックレンジが多い
ISOが大きいほど…明るい、ノイズが多い、ダイナミックレンジが少ない
撮影モード
いかがでしょうか。カメラにおいて重要な3つの数字についてざっくり理解できたと思います。カメラの中には3つの数字をすべて自分で調整する「M(マニュアル)モード」と全てカメラが調整する「P(プログラムオート)モード」以外に
・F値だけ自分で設定(A/Avモード)
・SSだけ自分で設定(Sモード)
の2種類があります。まずは数字が変わると写真にどう影響するのか、この2つのモードで試しながら撮影してみるのがオススメです。(最初から全部自分で考えるとより上達します。しかし数字は一旦置いといてまずは撮ってみましょう。最初はトライアンドエラーを続けることが上達の近道だと思います。)
もっと知りたい!という方へ
上記のサイトはカメラメーカーがデジタル一眼レフの基礎知識、作例から撮影設定から構図、視点まで分かりやすく紹介してくれています。写真付きでより細かく紹介されているため気になった方はぜひ見てみてください。
私の記事があなたの写真活動の手助けになれば幸いです。ご覧いただきありがとうございました。
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