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街弁が報酬見積りで困らないために #038
久しぶりになってしまいましたが、弁護士で独立を考えている人向けの記事を書いてみます!
私が独立して戸惑ったのが、弁護士報酬の見積りの提示です。
前職ではほぼ完全タイムチャージでしたし、そもそもあまり新規顧客への営業をしない事務所でしたので、ほとんど経験がありませんでした。それが独立してみると、新規相談のたびに見積りを聞かれるし、そのたびに全部自分で報酬を決めなければなりません。
モノを売るわけじゃないので原価があるわけじゃないし、自分のさじ加減次第。日弁連の報酬アンケートも2000年代のものですし、中身も結局ケースバイケース、という感じです。
今でもまだ慣れませんが、それでも数年やってみて「これをやっておくといいな」ということがちょっとずつわかってきました。
迷ったときの基準額を決める
私が見積りを出すときに一番考えているのが「この報酬でストレスなく仕事ができるか」ということです。めちゃくちゃ主観的ですみません。
紛争案件では、解決まで長期間がかかる、依頼者や相手方の対応に時間を取られる、などの場合、ただでさえストレスがたまります。報酬がそれに見合っていないとモチベーションの維持も困難です。
ですので、特に紛争案件では、どんな案件でも着手金+成功報酬で最低これくらい。これを下回る場合は、よっぽどの事情(断れない紹介とか)がないと受けない、という基準を自分の中で決めておきます。
例えば、修習のときお話した弁護士は「金額を決めにくい場合は着手金20万、報酬20万」とのことでした(地域によりますし当時とは物価も違うので金額は参考程度ですが)。
案件類型ごとの料金表を作る
ある程度案件を経験したら、類型ごとに相場感がわかってきますので、類型ごとの料金表を作るとそれに当てはめるだけで良いので楽です。
特に、経済的利益での算定が難しいときには重宝します。
例えば離婚で財産分与も慰謝料もないと、経済的利益での算定が困難です。
そこで、「調停までは着手金◯円、訴訟に移行すると+◯円、終了時報酬は◯円+経済的利益の◯%」のように、経済的利益にかかわらず一定の報酬を定めています。また、調停が多数回にわたる場合や訴訟で尋問がある場合の日当なども定めています。
他にも、報酬決めで迷いそうな案件、例えば、価値の低い不動産の数次相続の案件とか、単発での契約書作成は、料金表を作っています。
見積と一緒に方針説明書を発行
さらに、料金表を当てはめられない案件や、進め方にいろいろなパターンが想定される案件の場合は、見積りと合わせて方針説明書を出します。
考えられる方針を列挙して、このパターンだといくらで、この段階までだといくら、のように場合分けして見積りを提示します。法人の場合は、顧問契約との組み合わせを提案したりします。
方針説明書を出すことで進め方も明確になり、どの作業にいくらかかるかといった費用感もクリアになるので納得感を得やすいです。
おわりに
特に最初の頃は、高い見積りを出して「あそこの弁護士は高いからやめときな」という噂が広まったらどうしよう…とか色々考えちゃって自信をもって見積りを出せませんでした。
未だに見積りを出すのはちょっと勇気が入りますが、断られたらそれまで、と割り切るのが大事です。
私が独立した当初よりも、細かい料金体系をホームページで公表している事務所は格段に増えています。最初はそれらを参考にしつつ、経験に応じて少しずつ修正をかけていくのが良いのではないでしょうか。
独立するときに知りたかったシリーズ、過去記事もありますのでよろしければのぞいてみてください!
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