最強のパートナー

彼とは、10歳ぐらいからの知り合いで
かれこれ40年近い付き合いになります。
実際に深く関わるようになったのは、ここ10数年ほど。

田舎特有の、彼の複雑な家庭環境も
やんちゃだった青春時代も
奔放な恋愛関係も
頭脳明晰、運動神経抜群なのに、その機会に恵まれなかったことや
頑張り屋なんだけど、不器用で、ちょっと自暴自棄なところも
事象だけで、お互いの状況を想像できるほど、理解し合える人。
辛くて苦しいことも、皮肉を交えて笑い飛ばし合える仲。
彼との関係には、抗えないものを感じます。

私に、こんなにも深く関わってくれる人がいるんだって思うと、
彼を生み、育ててきた彼の両親に、そして私の両親に、心から感謝します。
厄介な私の両親に対しては、なかなか感謝という言葉すら持てなかったのですが、それでも感謝できるようになったのは、彼のおかげです。

数年前、突然、彼は私の前から姿を消しました。
彼が起こした交通事故をきっかけに、身体がままならず、これまでどおりの生活ができなくなり、私に対して何もできない、だから、私にはほかの人と幸せになってほしい、とでも思ったのでしょう。

生きていれば、いつか会えますように。
彼の抱えている苦しみが、少しでも和らぎますように。
彼の苦しみを少しでも軽減できることが、私の内にありますように。
そして、それを捧げられますように。
ただただ、祈るだけの数年間でした。

先日、とあるメールが届きました。
送信先を間違えたようで、彼から、納骨の詳細を伝えるメールでした。
納骨?!
ああ、彼のお父様が亡くなったのかぁ、と。

久しぶりに、私の目の前で話をしてくれる彼は、
年を重ねたものの、以前と全く変わらない彼でした。
どんなことがあっても、真理は変わらない。
どんなに辛くても、大切な思いを、私からは遠い場所で、
ずっと大切に生きてきたんだなって思うと、愛しさがこみ上げてきました。

付き合いが長く、ドキドキ、ワクワクすることはないけれども、
遠く離れていても、会えない時間も、お互いを思いやり、
どんなに辛いことが起こっても
どんなに苦しいときでも
一緒にいるときを共に楽しもうとする大切なパートナー。
彼がいなかったら、今の私はいなかったでしょう。

10年前のちょうど今頃、彼が、私の生命を救ってくれたこと、
そして、事故から彼の生命が救われたことに、心から感謝します。

2021年も様々なことが起こり、自分を見失いかけてましたが、
やっと自分を取り戻せたときに起きた、うれしい再会でした。

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