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始末屋由来木屋

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一章──病院を抜けて

一章──病院を抜けて

「はぁ……面倒臭いですねぇ」

 ため息をつけば幸福が逃げるという流言があるが、コンビニ袋片手に病院の廊下を歩く帳は自身から逃げる幸福など残ってはいないだろうと考えていた。
 山城朝日の誘拐事件に帳が始末屋として介入してから数日。
 満足な食事さえとれていなかった朝日は、経過観察も兼ねて石凪(いしなぎ)総合病院に入院していた。依頼人である山城家への報告は巻奈が行い、帳はお見舞いと護衛を兼任する日々

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始末屋由来木屋

始末屋由来木屋

 一人の男が死んだ。
 死因は内臓破裂による失血死。それを証明するように、苦悶の表情を浮かべる男だった肉塊の口から血が止めどなく溢れてくる。
 今うつ伏せで倒れているモノをひっくり返せば、腹部だけ衣服が円状に破れているのが確認できるだろう。
 壊れた蛇口の如くコンクリートを赤く染める頭を爪先で小突き、破壊を為した少年は口角を歪に曲げる。嘲りの意思が克明に刻まれたそれを向けるのは、視線の先で狼狽える

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