藤島よだか

ハンドメイドでドール服を作成しています。 こちらでは作成したお洋服のストーリーを写真…

藤島よだか

ハンドメイドでドール服を作成しています。 こちらでは作成したお洋服のストーリーを写真と一緒に公開しています。 〈ストア→https://cuddle-lullaby.booth.pm/

最近の記事

  • 固定された記事

ドール服の仕立て屋『Cuddle Lullaby』について

ご覧いただきありがとうございます。 Cuddle Lullabyの藤島よだかと申します。 有難いことに、ご覧くださる方、お洋服をお求めくださる方が増えてまいりましたので、ご挨拶もかねてこのようなページを設けさせていただきました。 ご一読いただければ幸いです。 ◆藤島について お人形のお洋服を作り、BOOTH【https://cuddle-lullaby.booth.pm/】にて販売しています。 2019年12月に初めてのドールをお迎えし、以降細々とお洋服を作り始め、

    • オリーブ園のママ【ムジカ】

      我が家は、代々オリーブ園を営んでいる。 農園は広大なので、私の娘たちも立派な戦力だ。 それなのに、現在娘たちは四葉のクローバー探しに夢中である。 一時的なブームかと思いきや、もう一か月。 家の中は日々量産されるクローバーの押し花がそこかしこにあふれ出し、最早ここはオリーブを扱っているのかクローバーを扱っているのか、家業が行方不明だ。 何か対策を打たねばならない。 娘たちの興味をそらし、本来の仕事に戻ってもらえるような秘策を。 そんな話を、友人に相談したところ、一つ面白い

      • 元入院患者の少女【エルダー】

        少し前に、風邪をこじらせて数日だけ入院していたの。 その時隣の病室にいた私よりも少し年上の女の子、かっこいいお兄さんがお見舞いに来ていた。 仲の良い二人の様子は微笑ましかったし、私は一人っ子だからちょっとだけ羨ましかった。 そんなある日お兄さんが女の子にパジャマをプレゼントした。 真っ白で、フワフワヒラヒラのパジャマ。 一瞬目にしただけなのに、そのパジャマは私の頭に焼き付いた。 退院後、日常生活に戻ってからも、パジャマのことが忘れられない。 同じものが欲しくてたまらな

        • ピクニック部の1年生【ユリアン】

          私の学校はこの辺りでは一番生徒数が多くて、良く分からない部活がたくさんある。 入学したばかりの頃に実施された部活動紹介は丸一日かかって、後半はみんなぐったりしていたくらい。 ピクニック部なんて、その良く分からない部活動の筆頭だと思う。 何を隠そう、私が在籍している部活だ。 何をしているかと言えばその名の通り、天気の良い週末にみんなで手作りのランチを持ってピクニックをする。 のどかで、気楽な部活動。 心なしか在籍している部員も、穏やかな性格の女子ばかりだ。 そんな私たちが

        • 固定された記事

        ドール服の仕立て屋『Cuddle Lullaby』について

          夏季限定観光船の水先案内人【アルノルド】

          この小さな港町は、夏の間の観光業を頼りに栄えているようなものだ。 大昔は漁業が盛んで、その時に建築されたらしいやたらのっぽな灯台に歴史的な価値がある。 確かに、灯台の入り口や内部に施された造形は、建築や美術の知識がない俺でも素晴らしいと思う。 残念ながら現在この町では漁業は行われておらず、灯台も役目を終えている。 しかし、ただ潮風に晒されるだけではもったいないという声を受け、夏の間だけ灯台は息を吹き返すのだ。 内部が一般公開され、たくさんの観光客が訪れ、町をあげてお祭り

          夏季限定観光船の水先案内人【アルノルド】

          簡単なお手入れ方法をためしてみました

          突然ですが薄手のドレス、扱いが難しくないですか? ふわふわでひらひらのシルエットが命なのに、しわしわになりやすい。 久々に着せようと思って出してみたら、他のお洋服もろともフリルがつぶれ、ボリュームが死ぬ。あるあるですよね。 アイロンをかければ良いのですが、小さくて装飾が多いドール服、難易度が高すぎる。そもそも一人暮らしでアイロンなんて持ってないよって人もいるのではないでしょうか。 お洋服を作って販売を行っている私自身も、発送の度に思っていました。どうしても畳んで送らなけ

          簡単なお手入れ方法をためしてみました

          休憩ドレス・群青服と夕焼服

          うちの店主は、よく休憩ドレスを作る。 同じ色、同じ柄の布をずっと見続けていると、脳がおかしくなるらしい。 一種のゲシュタルト崩壊。 だから休憩に全く違うイメージのドレスを縫う。休憩ドレス。 縫物の休憩に縫物をするって、どういうことなんだろう。 疲れた時や、飽きが来た時に、少しだけ違うドレスを触るとリフレッシュ出来ると言っていた。 それよりもお茶を飲んだり散歩したりする方が、休憩になると思うけれど、 曰く、ジャンルが違うことをするとその日はもう戻って来れなくなる、との

          休憩ドレス・群青服と夕焼服

          雑貨店の新人店主【エミリー】

          念願かなって小さな雑貨店を開くと決めた時、誰よりも応援してくれたのは姉だった。 姉はおっとりとした人で、会話も行動もゆっくりしている。 しょっちゅう忘れ物をするし、何だったら約束や予定も忘れることがある。 そんな姉が、雑貨店を開く話を聞いたその日の内に身支度もそこそこに出かけていき、夜には店内で使えそうな布製品を一通りオーダーして帰宅した。 いつものおっとり具合からは考えられない速さで、家族全員驚いた。 オーダーした品が届くのも早かった。 姉は開店のお祝いだと言いなが

          雑貨店の新人店主【エミリー】

          喫茶室ルルの利用者【トーリ】

          私は今、震えている。 目の前には色とりどりのスイーツや軽食が乗った三段のお皿と、甘い香りを湯気とともに立ち昇らせている紅茶。 腰かけているえんじ色のソファは触れるとふんわりと柔らかくて気持ちがいい。昔、お友達が飼っていた猫のお腹みたい。 場違いな場所に来てしまった、と思った。 自分へのご褒美にと、背伸びして繁華街のカフェを予約したまでは良かった。 けれど。 いざ来店してみると、周りは素敵なお姉さんや、上品なマダムばかり。 ウエイターさんも、シワ一つない真っ白なシャツを

          喫茶室ルルの利用者【トーリ】

          寝具店の娘【シンシア】

          私の家は代々寝具店を営んでいる。 布団に枕、シーツ、毛布、等々。 お父さんもおじいちゃんも、古くて大きなミシンをガタガタ言わせて毎日布を縫っている。 多分私が一日に歩く距離よりも、うちのミシンが一日に縫う布の方が長いと思う。 倉庫にはいつも色んな柄の布が置かれている。 その半分くらいは、使えない布らしい。 寝具にするには微妙に足りない長さ、でも捨てるには長すぎる布。そして倉庫に積まれている。 誰もが何とかせねばと思っていたらしいが、ずるずると先延ばしになっていたある日、

          寝具店の娘【シンシア】

          オカルトクラブオセロの一般会員【メアリー】

          きっかけは何気ない会話だった。 町はずれにある巨人の仕立て屋さんに、お願いしていたお直しを取りに行った流れの立ち話で「最近都市伝説にハマっている」とこぼした。 その時に紹介されたのが、オカルトクラブ「オセロ」だ。 月に一度、オカルト好きな人たちが古い館に集まって、夜を明かす。 入会時に白と黒のドレスを購入して、毎回参加を表明するとその日のドレスの色を指定される。 因みにそのドレスを仕立てたのが巨人さんらしい。 始めて参加した日は、なんだか怪しげで正直怖かった。 都市伝説

          オカルトクラブオセロの一般会員【メアリー】

          牧場ノルニアファームの娘【ターニャ】

          恥ずかしながら、スカートという物を身に付けたことがなかった。 だって私の家は、牧場。牛と馬と鶏と、その他諸々の家畜を、三人の兄と一緒に世話をする毎日。 もちろん牧場で働く人の中には女性もいるけど、当然全員ズボンを履いている。 そんな中で育ってきたから、スカートどころか、ファッションに興味がなかった。 動きやすければそれでいい。 思春期になっても、泥だらけになって動物を追いかける私を、周囲は大層心配していたらしい。 そのせいだろう、今年の誕生日は、欲しい物を聞かれること

          牧場ノルニアファームの娘【ターニャ】

          海辺のケーキ屋ソレイユの販売員【マリー】

          私が働くケーキ屋さんは、海沿いにある。 海岸の道に店舗と小さな工場が立っていて、道を渡ればすぐに浜辺だ。 景色は抜群に良いけれど、夏はとにかく暑い。 店長は、この海沿いというロケーションがとにかく気に入っているようで、お店の制服もやたらと可愛いセーラー服にしてしまった。 働き始めた頃に、先輩から聞かされた。 町はずれの巨人の仕立て屋さんに、「海沿いのケーキ屋さんの服」とざっくりとしたイメージで押し通し、作らせたとのこと。 なるほど、確かに言われてみれば。 セーラー服か

          海辺のケーキ屋ソレイユの販売員【マリー】

          シャロンの兄【ルアン】

          病弱な妹が、「真っ白でフワフワのお姫様が着るようなパジャマが欲しい」と言ったのは、もう半年前のことだった。 服のことなんて、全く興味がなかった僕は困り果てた。恥ずかしながら、いい歳して親が買ってきたものを適当に着ていたくらいだし。 悩みすぎてお腹を壊した僕を見かねて、フィアンセが紹介してくれた町はずれの仕立て屋。 そこに駆け込んで洗いざらい事情を話し、何とか用意できたパジャマは今でも妹が愛用している。 意外だったのは、その件で妹とフィアンセがとても仲良くなったこと。

          シャロンの兄【ルアン】

          文具店ポポロンのアルバイト【アメリア】

          冬休みの前、一つ上の先輩からこんなお誘いを受けた。 「裏通りの文具店で半年間、アルバイトをしてみない?」 その文具店は春から夏までの半年間だけオープンするらしい。 新生活の応援のためにお店は開き、その年に2年生になる学生が運営のお手伝いをする。 すっかり忘れていたが、そういえば私もそのお店で教科書と制服を用意した。淡い色合いのエプロンドレスを着た、若い店員さんに採寸してもらったことを覚えている。 そうか、あの店員さんは、この学校の先輩達だったのか。 ぜひ、と答えて誘

          文具店ポポロンのアルバイト【アメリア】

          劇団アルストロメリアの町娘役【ルーサ】

          私は今年入団したばかりの新人だけど、実は少しだけ、ほんの少しだけ期待していたんだ。 もしかしたら、次の公演で良い役が貰えるんじゃないかって。 主役はまぁ流石に無理だとしても、名前とセリフがある役。 でも結果は町娘役。 華やかだけど、セリフはない。 町娘役は2人いて、見せ場は主役の後ろでくるくる回るダンスを踊るところ、かな。 悔しい、なんて言わない。 新人で舞台に立てるだけできっと上々だもの。 せめて可愛く可憐に舞ってみせるんだから。 そう誓って何とかダンスの振り付け

          劇団アルストロメリアの町娘役【ルーサ】