2020/5/28「アンナ・カレーニナ」

原題:Anna Karenina
監督:ジョー・ライト(「ウィンストン・チャーチル」)
脚本:トム・ストッパード
原作:レフ・トルストイ
キャスト:キーラ・ナイトレイ…アンナ・カレーニナ
     ジュード・ロウ…アレクセイ・カレーニン伯爵
     アーロン・テイラー=ジョンソン…アレクセイ・ヴロンスキー伯爵


※ネタバレ多分してます。


あああ…なんて濃密で複雑な愛の物語なんだろう…こんなに心にくるラブロマンス…いやもはやラブロマンスなんていう薄い言葉で言っていいのか…?笑

とにかく今まで観てきた恋愛映画とは全然違くて、それこそ言葉通り苦くてじかっと甘い、大人な外国のお菓子を食べた気分です。
月並みな表現を使うと胸が苦しい。
本当にただただ胸が苦しい。

1870年代、まだ帝政下にあるロシアはそれは華やかで、どこか夢の世界のようにも見えます。そこで繰り広げられる様々な愛の物語がまさに愛としか言いようのないもので…。(語彙力がなさすぎる)

とにかくあれだけの愛の形をあの時間で描き出せるのが凄いです。
で、やけに濃密でしかもストーリーラインのみで、なんて複雑な愛を形作っていくんだろうって思ったら原作はトルストイなのですね。(戯曲の勉強もしてるのに無知かw)どうりで演劇的に進めるわけだ。
今度原作読みます。

そう、この作品、映画なんですが、ものすごく演劇的な演出なんですよね。今まで観たどの映画よりも演劇に近づけられてた気がします。
というか演劇を見ている時のお客さんの脳味噌をそのまま映像化した感じ?
脳の補完能力や想像力の飛躍の仕方が上手く表現されていると個人的には思いました。が、それが人によってはもしかしたらとっつきにくいかもしれません。
特に冒頭〜アンナがヴロンスキーと恋に落ちるまでの流れは、場所も時間も一気に飛ばすので、登場人物の気持ちや正確な場所が把握できず、若干ストレスではあります。
後半は多分深堀したいシーンが出てくるのもあって、観客が時間軸や登場人物たちの気持ちに追いつける余地があるんですけどね。

余談ですが、先日、大学で演劇と映画の違いについて割と真面目に学生と教授で議論してたんです。で、その時、映画が演劇に近づくとこうなるっていう映像を観せてもらったんですが、それはいわゆる一発ロングショットで全部映画が撮られてるってやつで、最近だと1917がそれに近い感じだと思います。
でもその映像観せてもらった時に、これは演劇に近づこうとして、むしろ映画的になっていないか?とも思ってしまったんですね。なぜかわからなかったんですけど…
多分そう思った答えがこの映画にありそうな気がします。
ロングショット、ワンショットは一回性という形式としては演劇に近いのだけど、本質的に何か違うような気がして……演劇を見る時の脳味噌の使い方に近い見方で観れるのがこの映画だと思いました。
でも、もっと噛み砕いて説明できるようになるまでこの問題は保留ですね。

話は本編に戻して。
いやあ…本当に良い物語に触れられたなって想いで胸がいっぱいです。

熱くて、濃密で、優しくて、辛くて、儚くて、時に残酷。
人が人を想うには沢山の形があって、それらが織りなす人間模様がタペストリーのように広がっていって、すれ違って、くっついて、破れて、また絡み合う。
とにかく目が離せませんでした。
またバックに流れる音楽も劇的すぎず、淡白すぎず、それでいてエキゾチック。本当に素敵で、耳に心地よかったです。

私自身は物語のジャンルとして個人の恨み系やいわゆるドロドロ系っていうのにはあまり興味が湧かないんですが、(だからテラスハウスとか苦手でした)このアンナ・カレーニナやチェーホフの「かもめ」は好きです。
(どちらもロシア文学!)
なぜかこういう物語に触れると恋愛したくなってしまうんですよねえ笑
友人からはヤバイねってよく言われますけど笑

その濃厚な物語を生きる人間たちを演じた俳優さん方に脱帽です。
本当にどの役の人も存在感があって、その役の背負っている人生を感じさせました。

なんだかまとまらなくて、同じことをだらだらと書いてしまいそうなので、ここら辺にしておきますね笑

ビターなお菓子に粉砂糖を上からまぶしたような甘さのある、そんな大人な映画でした。

それでは皆さま、良き映画LIFEを✨🎬

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