2020/4/26「コラテラル」

コラテラル
原題:Collateral
監督:マイケル・マン(パブリック・エネミーズ)
脚本:スチュワート・ビーティー(パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち)


※多分ネタバレしてます。


いやああ、実は今日誕生日なんですけど、久々に良い映画観たって感じ。幸せ。
何が良いって、もうちょっと観ただけで、なんかこれは面白そうだぞ…ってなるオープニング。もうワックワクで画面から目が離せなくなっちゃって…
良い映画とか面白そうな映画って、もう初っ端から良い感じの雰囲気で捉えて離さないですよね、観客を。

実はこの映画を見始めたのは、最近勝手にトム・クルーズ祭りをやっていて、その中で今まで観てなかったやつ観ようかなと。
ちなみにこの作品観る前にM:Iシリーズとナイト&デイを見直してました笑
(いや、本当はね、大きく広げた物語ってどうやって終息させるんだろうと思って、シナリオの参考にとM:Iシリーズ見直し始めたんです。が、はい無事にトム・クルーズの沼にまたハマってしまったという、ええ、そういう次第なんです)

トム・クルーズの印象ってやっぱり何をやってもカッコいい!みたいなそんな感じで、なんか本当凄い好きなんですよ…あのキラー・スマイルとか…意中の女性を心配する眼とか…
で、そういうトム・クルーズを見たくて、初見の時は面白かったと思ったナイト&デイを見直したんです。それが思ったより楽しめなくてですね笑 で、今までなんとなく悪役としてのトムを観たくないような観たいような…という感じで敬遠していたコラテラルに手を伸ばしたという感じです。

いやあああ、でも良かったです。観れて。ものすっごく魅力的な悪役でした。
トムの悪役も最高だったんですけど、タクシードライバー、マックスを演じたジェイミー・フォックスがめちゃくちゃ良かった。
彼が出てきた時「アメスパのエレクトロやん…しかも同じ役名じゃね?」と思いつつ、でもすごく嬉しかった笑 アメスパのエレクトロ闇落ち前の演技とか凄い存在感で印象に残ってたんですよ。(でも調べたらオスカー俳優なのね…どうりで存在感が抜群なわけだ)
この二人の間に流れる何とも言えない空気感が凄い観てて楽しかったです。

そして、多分コラテラルはシナリオがめちゃくちゃ良く出来てる。
もう一回観ないとちゃんとは分析できないけど、初見の感じだと、説明せずに人間関係、その人の性格、状況を伝えるのがめちゃくちゃ上手。だから画面を観てるのがひたすら心地良いし、目が離せない。
加えてセリフも抜群にキレキレなんだよなあー。だから冒頭でマックスがお客さんとして乗せた検事アニーの心情吐露のセリフもただの長台詞、説明台詞じゃなく自然に聞けるし、感情移入できるんですよね。これはそのセリフに至るまでの状況設定もめっちゃ上手いってことなんだと思う。

いや、つーかセリフめちゃくちゃ上手かったな笑(何回おんなじこと言うんだ)
印象に残るセリフを連発しまくりでしたね、特にトム演じる殺し屋のヴィンセント。
で、ヴィンセントの言う刺激的な台詞や行動、思想に影響されて、マックスも変わっていくっていうのがね、人間的だし、思考回路に無理がない。なおかつその心情変化による行動が物語を進める役割もしているという。
物語を書く人にとっては当たり前かもしれないけど凄いなああ…

で、悪役ヴィンセントの情報の少なさも絶妙なんですよね。ミステリアスで、凄腕。でも簡単に人を殺すし…何を考えてるのか全くわからないって感じ。
だから、観客の気持ちはマックスの感情により近いものを抱くように仕向けられてると思う。
この人は悪いひとなの?良いひとなの?って。
その絶妙なグレー感が、ヴィンセントが早く警察に捕まってほしいとか思えない、絶対に悪人なのにちょっと応援したくなってしまうキャラクターを生み出してると思います。もちろんトム・クルーズのあの演技有りきですが。
トム怖いんだよなあ笑 凄いよなあ…言葉ではうまく説明できないけど、氷が薄く張ってる冷たい暗い湖みたいな微笑するんだよなー笑 (アイズ・ワイド・シャットのトムも若干その狂気を感じる)
でも演出でもその絶妙なグレー感は絶対意識してると思います。
特にクラブでのパニックの中、マックスがFBIに撃たれそうになるところ。それをヴィンセントが防ごうと銃を向ける、あの一瞬のカットが忘れられなくて。
あれだけで、マックスを助けるヴィンセントにはなんのメリットも無くて、というかむしろ自分にはデメリットなのに…くそっ…みたいな、なんか自分が死んでも良いみたいな覚悟を感じて、ヴィンセントの魅力が倍増するんですよね。
なんでマックスを殺さないのか。
それがヴィンセントのことを知りたいという観客の欲求になって、彼から目が離せなくなる、そんな気がしました。

で、そんなミステリアスな殺し屋ヴィンセントのことを人間としてというか、なんかちゃんと向き合おうとしてるマックスもこの上なく魅力的なんですよね。普通だったらもっと言いなりになるというか…モブと化すというか…言葉が上手くないな笑 
もちろんヴィンセントは人を殺してるわけだから、恐怖は感じてると思うんですけど、でもちゃんと彼と会話するんだよね…そこがヴィンセントがマックスを殺そうとしなかった理由の一つかもしれない。
だから二人の会話はピリリとしながらも凄く好きでした。違う状況で二人が出会ってたらどうだったんだろうって想像しちゃうくらい笑

そんなふうに良かったわあっていう感想を垂れ流しにしてはいるんですが、気になるところがなかったわけでもないです…
というのもちょっとしたことなんですが、ラストに向けてちょっと現実感が薄れてっちゃったんですよね…
特に地下鉄にヴィンセントが飛び乗るところが、やっぱりうーんってなっちゃいました…。そこは現実にいる殺し屋みたいになんかありそうな方法で二人の乗った列車に追いついて欲しかった…。全体的にビターな雰囲気で進めていた分、そこが若干のトム・クルーズ!感がでちゃって、大味な印象になってしまうというか…なんというか…
あとはラストもめちゃくちゃ渋くてカッコいい台詞をトムが決めてくれたんですが、マックスが列車から降りたあとのエンディングBGMが個人的に若干強くて…なんか壮大な感じになっちゃたのが、ちょっと残念。
ヴィンセントのラストの台詞と呼応させるならピアノのサウンドとかでも良かった気はします。ただ意図はそうじゃないのかなあ…難しいなあ
正直この作品の音楽は評価が難しいなと思いました。冒頭から割と強めの曲使うなあとは思ってたんですが、雰囲気には合ってたし、意図が分かり易かったので、うん良いねって感じだったんですが、若干耳につくことも多くて。
それが意図的なら良いと思うんですけどね。

いや、でも気になったのはそんなとこぐらいで、本当この作品は見て損はないんじゃないでしょうか…本当に久しぶりに良い映画観たなあって感じになりました。誕生日に観れて良かった笑
ってことで本日21になりましたが、これからも大好きな映画をたくさん観ていきたいです✨
それでは皆さま、素敵な映画ライフを🎬✨

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