大衆酒場お遍路 しぞーかおでんのガッツ
およそ5年ぶりに行ってきました。
東京にひっそりと暮らすしぞーか人のための「ノスタルジック・パラダイス」、高田馬場にある静岡料理メインの店「ガッツ」。
かつおだしと昆布だし、それと牛すじのだしと醤油で真っ黒になったつゆで煮込むおでんがしぞーかおでんです。
黒はんぺん、白焼、糸こんにゃくを串にぐるぐる巻きにしたものなど、特徴ある具材も美味しく、スープは飲まず、鰹節などを粉にしただし粉、青のりをかけて食べるなど、とてもヘルシーなしぞーか人のソウルフード。
しぞーかおでんは夏冬関係なく、いつでも食卓に上ります。B級フードですから、普通の大衆酒場はもちろん、お弁当屋さん(テンジンヤという、ジモティなら誰でも知ってるお惣菜屋チェーンがありますが、その名を知っているか知らないかで、しぞーか人であるかないかが分かります)でも、ああ、昔は駄菓子屋などにも置いてあり、子供が10円を握りしめて1本のおでんを買い求める姿が普通にあったものです。
とにかく、しぞーか人にとっては(いや、しぞーかおでんは富士川から大井川の間の人々しか食していないらしいのですが)、このスタイルがおでんのスタンダードだと思って生きてきましたので、都会に出て、あの、スープが透き通っているお上品なおてんを見て、黒くない、ふわっふわのはんぺんを見て、そして、なるとだかちくわだか分からないうどん粉の塊、ちくわぶを見て、そりゃあもうカルチャーショックだったわけなのです。
この日は再自粛要請前夜ということもあってか、店はなかなかの混雑ぶりで緊張しました(そう、今時は混み合う店や、マスクもせずにぺちゃくちゃ話し続けるOLさんとかが近くにいると、なんだか落ち着いて食事もできませんもんね)が、運良く(?)店内ではなく外の立ち飲みエリアにご案内。
まだそれほど寒くなく、心地よく晩秋の風に吹かれながら乾杯。
しかしそれは30分も持たず、だいぶいい感じで冷えてきたところ、中にいたお客さんがだいぶはけてくれて、やっと店内で飲み直しできました。
このお店の魅力は、おでんに限らず、静岡県のソウルフードがこれでもか、というくらい並んでいるところです。
B級グルメグランプリで有名になった、麺がモチモチ、肉カス(ラードから脂を抜き取った部分)の香ばしさ、そしてだし粉、青海苔をかけていただくのが魅力の富士宮焼きそばはもちろん、茹でラッカ(生の落花生を茹でたものですが、静岡が落花生の産地というわけではないんですけどね)、わさび漬けをアレンジした逸品など、飲み物もしぞーか割り(抹茶で割った焼酎)や竹銘堂オーレ(地元のお茶屋さんで出している、お茶の粉と砂糖をブレンドした飲み物をオーレしたもの)など、とにかくしぞーか人なら絶対に行くべき大衆酒場なのであります。
以前、下北沢に、その名の通り「しずおかや」というしぞーかおでんの店がありましたが(女将は私の中学校の先輩)、昨年閉店してしまいましたから、現在、私が知っている限り、東京でノスタルジーを味わえるお店はここだけとなってしまいました。
高田馬場のいう土地柄、しょっちゅう、というわけにはいきませんが、また伺いたいと思います。
ひとつ、文句(?)を言わせていただくとしたら、おでんのメニューの中に「ちくわぶ」がエントリーされていたこと。
多分、お客さんのリクエストに応じたものだと思いますが、そんなものを入れたら、正しいしぞーかおでんではなくなります。
ちゃんとプライドを持っていただきたいものです(笑)。
まあ、嫌なら食わなければいいだけの話ですが。
老後の楽しみになればと、というか、ボケ防止に、コツコツ始めてます。