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おでんとデート


「巣ごもり」用に大量のおでんを仕込んでいたとき、ふと思いました。

「ところでかぐや姫の『赤ちょうちん』って歌だけど、あのアベック(あえてそう書かせていただきます、笑)はおでんを店で食べたんだろうか、それともテイクアウトしたんだろうか」

 ……いくら、どこにも出かけられない暇な時期とはいえ、どうでもいいことを、それも50代以上でないと分からないようなことをぐだぐだと書いているのだ、と思われた方、失敬でございます。

 でも、よくよく考えてみるとあの歌、昭和の貧乏カップル(まあ、当時はみんなこんな感じだったのかもしれませんが)が赤ちょうちんの誘惑に負けて、月に一度、おでんをたくさん買ってお酒も飲んじゃって、そのあとムフフもしました(あっ、それは歌ってないか)って内容だったと思いますが、おでんを店で食べたのか、家に持ち帰ったのかは一切書かれていないのです。

「おでんをたくさん買いました」ってことは、やっぱりテイクアウトなのかなあとも思うのですが、なんだか浮かんでくる映像は酒場のカウンター、端っこの方で、おでんの湯気で紅潮した二人の姿(時代的に男は長髪、女は何故か赤いセーターを着ている)。それが自然な感じがします。

 しかしこの歌、赤ちょうちんとは居酒屋なのか、屋台のおでん屋なのかも書かれておりません。
 まあ季節は冬ということですし、屋台だったら寒くておでんは瞬く間に冷え切ってしまい、なんだかどんよりとした気持ちになってしまうに違いありません。やはりここはおでんはテイクアウト、お酒はビールでなく安い熱燗、これが正解なのではないかと思った次第でございます。

 どちらにしても、月に一度の贅沢がおでんとちょっぴりのお酒、というのも、なかなかしょっぱい話でして、昭和40年代のリアルとはこんな感じだったのかなあと思うわけなのです。

 というより、おでんなんて、そんなに難しい料理じゃないんだから、自分達で作ればいいんじゃないの? とも思いましたが。
 しぞーかおでんみたいに仕込みが大変だったり、出汁に命をかけました、なんていう料亭風のおでんならともかく、たくさん買うくらいなら、たくさん作った方がずっと安上がりな感じもしますがね。
 まあいいか。

 とにかく、若い時は金がなくても、二人でいればそれで幸せという気持ちは、時代を越えているのかもしれません。
 昨今の若者は金がない、というより、あまりいろいろなことに金をかけない、なんて話を聞きます。
 車は買わない、海外旅行にも行かない、洋服もファストファッション……、まあケータイあたりに金を持っていかれるから仕方がないとは思いますが、デートで使うような店でないところ、例えば牛丼屋とか、オッサンの憩いの場、もつ焼き屋あたりでキャッキャ言いながらデートを楽しんでいるカップルを見ると、んー、もうちょっと行くところを吟味してみたら、せっかく好き同士で楽しい時間を共有してるんだから、なんてお節介ながら思ってしまいます。
 うん、ホントにお節介だ😅。

 というのも、私が20代後半あたりの鼻息が荒かった頃は、いわゆる「バブル」華やかなりし頃でして、デキるデートはどこどこの夜景の綺麗なレストランを予約してイカすイタ飯、ああ、もちろんスーツはDCブランド……。

 ああ、私は一切そんなことはしませんでしたよ。情報だけはアンテナを張って入手し、頭でっかちになっているだけでしたけど(苦笑)。
 だからなのか、牛丼屋でデートなど、どこか「恥」なのではと思う、ホントに悪しき世代なのであります。
 そう、ホントによくない時代でした。

 そうなのですね、二人が楽しければ、どこでデートしようとも全然構わないわけなのです。
 まあ、それでその反動なのか、現在、お酒はホッピー、最高のおつまみはもつ煮込み、雰囲気よりも希少性よりも、とにかく安い、しみじみできるお店をこよなく愛する中年に到着、というわけです。

 なんだかとりとめもない話でございましたね、失敬失敬これまた失敬。

 

 

老後の楽しみになればと、というか、ボケ防止に、コツコツ始めてます。