梨泰院クラスへの感動が絶望にもつながっていた
梨泰院クラスという全16話の韓国ドラマを大変楽しく観させてもらった。
ひたむきな登場人物たち。悪役にすら愛すべき点を見出だし、感情移入した。
見終わった瞬間、大きな楽しみが一つ幕を閉じた悲しみがあった。
しかしその奥には、もっと言葉にならない悲しみがあった。自分の受けた悲しみを自覚するのにやや時間がかかった。
悲しくも救いのある素敵なドラマのストーリー。登場人物はみな自分の気持ちに素直に生き、ぶつかり合い、影響し合う。観ているだけで励まされるような尊さがあった。
同時に、あんなふうに他人と向き合ったり、ぶつかり合ったり、踏み込んだりして生きることは私には到底無理だという、自分の価値観や人生との圧倒的な距離も再確認させられた。
ドラマのような素敵な人生は私には絶対に無い。その絶望だった。
自分でも深く納得しながら、人生の可能性の一つを確実に潰す。これが本当に痛い。
そう考えると、昨年のjokerやパラサイトと言った映画を観た後のメンタルがいかに良いか。
自分の人生もダークサイドに転落して生きる可能性はきっと数多く存在した。しかし、奇跡のような幸運が重なり、踏み外さないで生きてきた今がある。
自分はこれほどのダークサイドに生きることは今後も一生無いと、一つの可能性を潰せる安心感。
目が眩むほど素敵なストーリーが自分の人生に絶対に起きないと自覚することと、
目を背けたくなるような残酷で血塗られた人生を歩まないと自覚すること。
後者のほうがメンタルに良い。
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