& episode 020
雨も小雨になった頃、くにちゃんがようやく到着した。
仕事あがりの彼女は朝玄関を出た時よりもカールはゆるくなっていて、バナナクリップで何度もまとめ直した髪の毛は、少し隙がある感じで彼女の色っぽくみせる。
「おかえり。」
と僕が彼女をいたわると、これからラストスパートだよ♪と目配せをする。
「おつかれさま。くに子さん♪」
と、りんが椅子を引きながら、こちらへと手招きする。
くにちゃんは大きく伸びをして、ウェイターにメニューをお願いすると待たせてごめんね!と、一礼をして席に座った。
生ハムのサラダ、マッシュルームとブロッコリーとアンチョビのオーブン焼き、クゥアトロフォルマッジにフランスブリュゴーニュで10年寝かせたという白ワインで、くにちゃんは今日の疲れを癒した。
オーブン焼きは、お店で焼いたフランスパンをパン粉にし、外がカリッと仕上がるよう下ごしらえがされていた。味付けの塩は、イタリアの海辺の小さな町で天日干しされたものだそうで、ピリッとした辛味が印象的だった。
クアトロフォルマッジは、手ごねの薄生地に4種類のチーズをトッピングしたものだ。それを蜂蜜をかけていただくのだが・・・、ここの蜂蜜がとんでもなく美味しかった。ヨーロッパで有名なオーストリアのもみの木の蜂蜜をかけていただいたこのピザは、食べた瞬間柔らかな気持ちになり、美味しさで思考が止まるほどだった。ヨーロッパでは、もみの木から取る蜂蜜は高品質で評判がいいそうだ。
チーズを食べたくて食べたはずのクァトロフォルマッジは、蜂蜜の美味しさに主役を譲った。
そんな印象のピザだった。
癖のあるチーズの味わいすら、爽やかにする蜂蜜があるなんて、世界はなんとも広いんだな。と。
りんはすかさず、くにちゃんに今度ヨーロッパに仕事をしに行く際、もみの木の蜂蜜を買ってきて欲しい!とお願いをしていた。
僕も、ここは!と、僕の分もね。とお願いをすると、
そんなにうまく出張は組めないよと、くにちゃんは笑った。
今回のピザを魅了したもみの木の蜂蜜に興味が沸いたら、ページの一番下にあるSAPIN(サパン)をお試しください。
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