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【オフベージュの独白】

ずっと、心に焼き付いている風景がある。
それは中学二年生のグラウンド。
真昼のまっすぐな日差しの下で、
とある男子が白い歯が覗く笑顔で言っていた。

「俺、清楚系が好き」

昼休みの後半。
練習着姿でキャッチボールをする彼を、
私はたまたま横目に見ていただけだった。

ううん、顔を横に向けて見ていた。

昼休みも惜しむハードな部活。
ハードな割に目立った成績が残らない弱小部。
でも、恋バナのキャッチボールが咲かせる笑顔は、
水やりを終えたばかりの朝顔のようだった。


次頁【疼き3】

これが白紙の値札。いつでも、もちろん0円でも構わないわ。ワタシの紡ぎに触れたあなたの価値観を知ることができたら、それで満足よ。大切なのは、戯れを愉しむこと。もしいただいたら、紡ぐ為の電気代と紙代と……そうね、珈琲代かしら。