見出し画像

【拾得物保管記録1121】

ポイント1121から保管庫。
おい『チェシャ』、お前計測サボっただろ。
そうそう白黒で分かれる道。
んあ?いらねぇの?なら別にいいけどよ。
まあせっかく拾ったモンだし、一応紙媒体で持ち帰る。
後で使うとか気紛れ起こされても困るしな。
投函先は……さっき使ったテレビCMのスタジオでいいか。
あ?浴室乾燥機の電源?知らねぇよ適当に押して丸くなってろ。
以上。アウト。

ーーさて、拾得物ボツネタとはいえ、簡単に表題つけるか。

※※※『ありし日。会議帰りのタクシーにて』※※※

「御子柴。……御子柴」
「ん……」
「もうすぐ着くぞ。不貞寝はうちの仮眠室でだ」
「自分のデザインだからか、寝心地悪いんです、あそこ」
「そうか?」
「全然起きれません」
「それはお前の疲労と相談しろ。……そういえば御子柴」
「ふあ……」
「木崎の前の会社って潰れたんだっけ」
「いえ、看板変えただけです。旦那さんと職場結婚して寿退社」
「ふーん……。何で復帰しないでうちに来たんだろうな。ほぼ同業だってのに」
「裏チャ情報ですけど、退社間際にマタハラとかセクハラ紛いのことを言われまくったからって本人が言ってたみたいですよ」
「……そんなところに戻ったら旦那にも気を遣う、か。……なんかなぁ……」
「同情ですか」
「いや、会議で親父さんの隣に座っていた新しい助手さんも、結婚指輪してたなぁって」
「ネットで金とベッドちらつかせて女かき集めるクズですから、木崎さんの引き抜き話なんてさっさと忘れましょう。どうせプチバズ起こしたイラストで発情しただけです」
「御子柴」
「大体、援交で引っ張られたくせに札束で黙らせて下請を天下りに使わせろとか、普通言いますか会議テーブル囲んで」
「普通言わないから、さっさと忘れよう。あーあ、高級店はやっぱ食った気がしないな。牛丼食ってから戻るか」
「ビール飲んでいいですか」
「ダメに決まってるだろ」
「食後酒で甘いやつ飲んでるじゃないですか」
「だからだ。……って、お前やっぱさっきので酔っぱらっただろ!運転手さん、すみません次の角を右へ行ってコンビニに寄ってください」

関連項目【日常の3】

※※※『ありし日、カフェにて』※※※

「うわぁー……オフちゃんそれ気まずいじゃん。満員電車で隣の時点で気まずい。しかも上司しかも男」
「うぅ……、人に流されてギュッとなってしまったときは本当に申し訳なくて……」
「大丈夫?なんもされてない?」
「なっ、ないよ……!」
「だってモテるのに合コン行っちゃうような人なんでしょ?」
「数合わせで仕方なく連れて行かれた感じのやりとりだったけれど……」
「何かされたらミコシーにすぐ言うんだよー?リアルでも仲良しならガツンと言ってくれるよ。ミコシー怒るとめちゃくちゃ怖いもん」
「でも、御子柴さんが大貫さんに怒られていることのほうが多いかも……?」
「ミコシーが!?」
「あっ、お仕事中じゃなくて、お昼休みとか雑談のとき。兄弟喧嘩みたいで微笑ましいの」
「あははっ。じゃあいつものミコシーだ。高校のときと全然変わんない」

関連項目【日常の3】

※※※『ありし日、カフェにて 弐』※※※

「へー、先輩さんとミコシーって仕事でもそんなに喋るんだぁー」
「うん。御子柴さんは親会社のアトリエさんから来た橋渡し役だから、大貫さんとリーダー会議に出ることも多くて……」
「そーなんだ?先輩さんってゲームやってるときのボイスチャットでしか知らないんだー。ほら、オフちゃんも一緒にやってたやつ」
「エデン・フロム・アビス?」
「そうそうそれ!ミコシーったら酷いんだよー?とりあえず撃てばいいって言っておいて、強いボスのときは下がってって言うんだもん」
「それは、安全なところにいてほしいからかも。私もちょっとだけやっていたけれど、夫もボスのときは『下がってろ』って。……『俺が守る』って……」
「うわぁーごちそうさまぁー」
「えへへ……」
「復帰すればいいのにー」
「うーん、やっぱり、難しいゲームだな、って……。でも……大貫さんと御子柴さんもやっているなら、復帰……でも、うぅ……」
「あ!じゃあさ、オフ会って名目は?」
「……!それならお喋りできる……?」
「よぉーし決定!ミコシーに電話しちゃおうっと」
「えっええっ!?」
「仲良くなりたいんでしょ?」
「そう、だけれど」
「私もミコシーに会いたいし。それに……ミコシー、その先輩さん好きなのかなって、気になるし」
「え?だって、御子柴さんって……」
「あれ?……あー!ミコシー人見知りだから反応見たいなってだけ!」

関連項目 ……不明……

※※※以降ハ虚無空間ニツキ、記録ヲ終了ス※※※

これでよし。
ん?おやおやお客様、これは失礼。
作品順路はこちら右手側の通路となっております。
どうぞそのままお進み下さい。

これが白紙の値札。いつでも、もちろん0円でも構わないわ。ワタシの紡ぎに触れたあなたの価値観を知ることができたら、それで満足よ。大切なのは、戯れを愉しむこと。もしいただいたら、紡ぐ為の電気代と紙代と……そうね、珈琲代かしら。