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アズライト -絵描きの少年と幽閨の少女-

この前出した新曲の歌詞をもう少し詳しくお話しします。

是非聴きながら読んでみてください!

幼馴染の少年と少女

近所に住む内気な少年と活発な少女は、
とある山の森の中で出逢いました。

少年は写生をしに。
少女は探検をしに。

違う目的を持ちながらも2人は出逢い、まさかこんなところに人がいると思わず、お互いに驚いてしまいました。
少年はその時に画材を落としてしまい、少女は申し訳なく思いながら一緒に画材を探しました。
画材を探している間、2人は色々な話をしました。
住んでる場所。年齢。好きなこと。なんでかこの場所によく来ること。不満なこと…。
実は近所に住む2人は、同い年で、目的は違えど、その目的にバッチリなこの場所が好きでよく来ており、むしろ今まで会わなかったことの方が不思議なくらいでした。
体を動かすことが好きな少女は、秘密基地にピッタリなこの場所が好きでした。
絵を描くことが好きな少年は、自然が自然のままに生きていることを描けるこの場所が好きでした。

しかし少女は不満を漏らしました。
最近外で遊ぶと体に違和感がある。昔はそんなことなかったのに…と。
遊びすぎなだけでは?と少年は思いましたが、まさかこんなことになるとは、思ってもみなかったのです。

少女の体の違和感は日に日に大きくなり、遂には陽の光を浴びることができなくなりました。
少女は陽の光を浴びると、皮膚が爛れてしまう病にかかってしまったのです。
当時は『アレルギー』なんて概念もなく、根も葉もないことを周囲の人間から囁かれることもあり、活発で友達も多かった少女のもとを訪れる人は段々といなくなっていきました。
それでも、絵描きの少年は日々通い続け、少女に自分の見た景色のことを話したり、絵に描いたりして、少しでも少女のことを楽しませようとしていました。

少女はもともと広く澄んだ綺麗な青空の下で、燦々と照らす明るい太陽の下で、体を動かして遊ぶのが大好きでした。
少女は、もっぱら今日の空模様のことを少年に聞いていました。
少女はもう、あの青い空を満足できるだけ見ることはできない体になっていました。

少年は少しでも少女の心の支えになれば、と思い、絵を描くことを決意しました。
どこまでも澄んだ、深い青に包まれた空の絵…
空が大好きな少女のお眼鏡にかなう絵が描けるとは思っていなかった少年が、遂に居ても立っても居られなくなり、貴重な『岩絵具』を自作して、青空の絵を描くことを決意しました。

青空の絵を描いた少年は、少女の最期のその時まで見守り続けました。
もう少年、少女なんて形容できる年齢では到底ありません。
青空が2人を深く結び付けたのでした。

残酷にも時は流れます。
ずっと目を逸らし続けるわけにもいかない。
埃の被った少女の部屋を片すために、少年は重い腰をあげました。
少女の部屋には、あの時描いた少年の絵。
深く澄んだ綺麗な青空の絵。
飾られてから触れることもなく、ただ眺めていた、2人の絆を深めた絵…
その額を外し、絵を取り出してみると、その裏面には見慣れた小さい文字がーー




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