見出し画像

独学のやり方を考えてみる 〜ビジュアルシンカーと独学大全

少し前に、『ビジュアルシンカーの脳』(テンプル・グランディン)という本を読んだ。ビジュアルシンキング(視覚思考)とは「脳が視覚の回路を使って情報を処理する思考のプロセス」のことで、物を考える時、視覚的なイメージ(具体的な絵だったり、パターンだったり)が頭の中に次々と思い浮かぶという人が視覚思考者(ビジュアルシンカー)だ。視覚思考と異なり、考える時に言語を用いるのは言語思考者と呼ばれる。

視覚思考と言語思考を見分ける簡単な方法として紹介されていたのは、山のような書類をファイリングするかしないかだ。きちんとファイリングしているのが言語思考者で、山の中にどの書類があるのかを把握しているのが視覚思考者ということになる。

私はまさに書類をファイリングできないタイプだ。本書に載っている「視覚空間型思考判定テスト」(下記サイトからも見られる)をやってみても、確かにその傾向があるらしいことがわかった。

正直、ちょっと衝撃だった。そこまで自分は言語タイプだと思っていて(編集者やってたこともある)、この著者と同じくビジュアルシンカーかと問われると何か違う気がしたからだ。ただ、思考タイプはスペクトラムなので、おそらく私は視覚思考と言語思考の混合タイプなのだろう。そう考えてみると、思考に言葉を使うかイメージを使うかはその内容や場面によって違っていて、確かに自分は視覚思考しているのだと気づいた。

この気づきは私にとってかなり新鮮だった。では、これを勉強に活かすにはどうしたらいいのか?

『独学大全』(読書猿)は独学者にとっていろいろと参考になる一冊だが、ここで紹介されている方法は普遍的であるものの、このうちどの技法が合うかはその人による。ではこの中で紹介されている技法(第3部以後)のうち、ビジュアルシンカー向けなのはどれだろうか。

イメージを使う「記憶術(ニーモニクス)(技法50)」は、まさに視覚思考向けなように思われる。とはいえ、「理解は記憶のための最高の方法」と本書内でも言われているように、視覚思考者はまず概念を理解するよう専念した方がいいだろう。

ビジュアルシンカーは一般に言語化が苦手とされる。先に挙げた判定テストの中にも「方法やわけを説明できなくても、物事がわかる。」という項目があるくらいだ。それを踏まえると、自分が何をわかっていて何をわかっていないかを単語や単文レベルでも視覚化できる「プレマップアンドポストマップ(技法49)」や「わからないルートマップ(技法53)」あたりがいいように思われる。また、日々の学習の中で得た気づきを書き留めておく「メタノート(技法55)」も有効だろう。ログの中に現れるパターンの洗い出しは得意分野のはずだ。

さらにいうと、文字を書くのが苦手なビジュアルシンカーには苦行かもしれないが、視覚をフルに使う「筆写(技法43)」も案外合っているのではないだろうか。己を振り返ってみても、大学の試験ではたくさん文字を書いて乗り切ったような気がする。

というわけで、社労士の勉強の中でこれらの技法を試してみようと思う。結果についてはそのうちまた書く。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?