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電子レンジと果物ナイフ

■2022年(両親80歳)

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別荘から報告あり。

母がロールパンを居室の電子レンジで黒焦げになるまで温めてしまったそうで、居室の外までパンの焦げた異臭を放っていたとのこと。

危険なので電子レンジは一旦別荘で預かるとのこと。

ロールパンは私が面会時に差し入れていたもの。
この頃はまだ自力で温めようとしていたんだなぁと思う。

母と言えば、冷めたままより温かくして美味しく食べてもらいたいと、何でも温めて食卓に出してくれていたのを思い出す。

自宅生活の後半では、日本酒を熱燗にするために、朝から電子レンジの音がよく鳴っていた。

母にとって必需品の電子レンジが没収されてしまい、胸が痛む。

後日、渋々電子レンジを引き取りに行く。

新年早々、母が父を不審者扱いしたり、父が感情的になることも増え、お互いに何をしでかすか分からないとのことで、居室で使っている果物ナイフも念のため没収される。

ナイフも母にとって必需品で、果物やらパンやら、なんでも切り分けてみんなで食べようというのが好きだった。

居室でも、娘たちにリンゴや梨、桃など、果物をナイフでよく剝いてもらっていた。

母にお願いできる貴重な手作業でもあったのに。

以降、母に果物を差し入れると、ナイフを探し回るも見つからず、仕方ないのでハサミで皮を剥こうと試行錯誤していた。

やり切れないので、私がいる間はいつも「お母さん、ここにあったよ!」と言ってナイフを渡し、果物の皮剥きをお願いしていた。

入居後半年足らずで身の回りの必需品が次々と没収され、胸が痛む。


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