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バカ者!

■2023年(両親81歳)

12/29 
年の瀬に、父の異変 続き(4)

20:30 わたしだけ呼ばれ、父の元へ。

検査が一通り終わったので、父の横で診察を待つようにと言われる。

父はストレッチャーの上で悶えていた。

体を左右にわさわさと動かし、険しい表情。

ゴニョゴニョとずっとなにか呟いている。

酸素マスク越しで何を言っているのか聞き取れないのが歯がゆい。

ゴニョゴニョのなかに、「バカ者!」とのワードだけはっきりと耳に入ってきた。

その瞬間、カッと目を見開く父。

なにか怒っているのだろうか。

昔、父が本気で怒った時は「バカ者!」とよくシャウトしていたのを思い出す。

父の手を取る。

思いのほか、強い力で手を握り返してくれる。

ストレッチャーの淵を握る反対の手にも、ものすごい力が込められている。

全身で踏ん張っている様子。

父の耳たぶには酸素濃度を測る装置のようなものがくっつけられている。

胸には心電図、腕には点滴と、たくさんの管が父の体に纏わりつき、煩わしそう。

途中、少し起き上がる。

眉間にしわを寄せながらも、終始ゴニョゴニョと呟いている。

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