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いつもと違ういつもの景色

午前3時半。

前日から関東では局所的な大雨がたびたび発生していて、自分が住む地域もちょうど一時的な大雨に覆われていた。

深夜3時まで友人とオンラインゲームをしながらだらだら電話をし相手が眠気に負け寝た後、自分はというとテンションがハイなままだったのでそのまま課題の消化にあたっていた。

屋根に大きな雨粒が叩き付ける音。家の中でも起きているのが自分だけだからなのだろうか、真夜中の大雨は少し不気味なものを感じさせた。昼間や夕方、22時ぐらいの大雨、どれも雨としては変わらない。だけど時間帯で感じ方が違うものなんだな、そう思いながら黙々と消化作業に徹していく。

それからしばらくして、気づけば雨はすっかり止んでいた。カーテンの隙間からだんだんと空が明るくなっている様子が窺えた。部屋の明かりを消し、カーテンを全開にする。窓の外に見える空は太陽が昇る前の、まだ深い青色。向こうの方に大きな雲の影が見える。光が当たらず真っ黒に染まった雲。昼間に見る不気味な雲とは違い、横に伸びててなんだかまだ空も眠たげなんだろうなと感じられる。

やがて空が遠くの方から徐々に白く染まっていく。群青色の空も、だんだん白みを帯びてきて雲と雲の間から真っ赤な太陽が顔を見せる。夏の太陽だけど日中の太陽とは全くの別人で、柔らかくて、信号機のような真っ赤な光を発している。遠くに見える重たげな雲はだんだんと白く色づけされていく。それでもまだ空は眠そうで、太陽が頑張って無理やり空を起こそうとしているようにも感じられた。それからすぐに、深い青の空は消え、全体的に白みがかった水色になっていく。太陽が本気を出してきて強く白い光を発してくる。流石に眩しいので自分は再びカーテンを閉める。

太陽が昇る前後の光景。それは本当に一瞬の出来事で、また元々朝型人間だった自分には馴染み深い景色だった。中学の時は夜の9時に寝て朝の3時に起きるなんてことをしばしばやっていた。しかし高校で生活は一変して、部活や勉強面での忙しさゆえに今度は午前3時に寝ることが多くなっていた。どちらかといえば朝型の母方の家系と夜型の父方の家系の間に生まれた人間だから正直朝型人間から夜型人間になるのは苦ではなかった。

それから大学生になって3か月経った今、高校の時のような忙しさはないけれど夜遅くまで起きることに抵抗はなくなっていたし、朝というより昼に起きるような生活が当たり前となりつつあった。それだから、日が昇る瞬間の光景を見たのはすごく久々なことだった。

3年ぶりに見た景色。特別な場所に行ってるわけでもなく、いつもと変わらない場所にあるんだけど普段気付かない朝の景色。それを見てやっぱり自分は夜中にだらだら起きるより、朝起きてだらだらするのが似合うような気がした。


気付いたら布団の上にいて、いつの間にか眠っていたらしい。時計を見ると午前9時の文字。空はすっかり空色に染まり、窓の向こうにはいつも見慣れた景色が広がっている。

やっぱり朝型人間になろう、そう思った夜更かし大学生の話。