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アンフォールドザワールド・アンリミテッド 6

 次の日になっても、イチゴは学校に戻ってこなかった。私の隣の席はあいたままで、おそらくちかこのクラスにいるフータも欠席しているのだろう。ミッチはどうなったのだろうか。
「ねえ、きずなちゃん、このままイチゴくんたちが戻ってこなかったらどうするー?」
 休み時間に、ほのかが私の席のそばにやってきて尋ねる。不安を能天気さで押し込めているような口調だ。
「うーん、それは困るよな。だってまだ、ナニガシがこっちの世界にいるんだろ? なんらかの被害が出るかも知れないし、私のノートだってまだ見つかってないし」
「ふうん」
「ん? なに?」
「私、きずなちゃんにちょっとがっかりしたー」
「は? なんでだよ」
「だってー、ミッチくんがあんなことになったのに、イチゴくんたちだってきっと大変な状況なのに」
「それはそうだろうけど」
「なんかー、最近のきずなちゃんって、自分のことばっかり」
「な、私は最初から、あいつらのことを歓迎してたわけじゃないし」
「いっしょに部活やったりー、いっぱい助けてもらったのに?」
 確かに私はイチゴに命を救われた。だけどそれは、そもそもあいつらが私たちの世界にやってこなければ、起こらなかった事件のはずだ。
「放送部だって、あいつら強引に入ってきて……」
「きずなちゃんは、イチゴくんたちのこと好きじゃないんだ」
「別に好きとかそういうの、ないし」
「わかった。じゃあ、イチゴくんは私がもらうから」
「はあ? なんでそういう話になるんだよ。好きにすればいいじゃん」
「好きにするよ」
 椅子に座ったままの私を見下ろすほのかの目つきが、いつもと違って見える。のほほんとした口調で吐かれた言葉が、私の心を不快にえぐった。

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2016年から活動しているセルパブSF雑誌『銃と宇宙 GUNS&UNIVERSE』のnote版です。

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