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Inventor / モデリングテクニック / パーツモデル / スケッチ (2)

2023年にウェビナーで紹介した内容をnoteの記事にしました。
普通にInventorでモデルを作ることができるけど、ワンランク上を目指す設計者を対象としています。


スケッチの説明の続きです。
前回はこちら、

スケッチ

ここでは、スケッチ作成時の間違いを減らすテクニックを紹介します。

一筆書きをしない

押出や回転のフィーチャを作成するには、プロファイルが必要です。そのプロファイルを、一筆書きのスケッチで作成する例をチュートリアルなどで見かけることがありますが、これはおすすめしません。

長方形を3個描いて、幾何拘束を使って位置合わせをする

閉じた図形を複数作る方が簡単で間違いがありません。
図の図形の場合、上の図の一筆書きの場合は、頂点の数(13個!)だけピックする必要がありますが、下の図の長方形であれば、6回のピックでよいです。更に、左右対称になるように幾何拘束を付ける手順も、下の図の方が簡単です。

ラフに作図する、最後に寸法拘束

2次元CADでは、寸法をきっちりと指定して作図していきますが、Inventorのスケッチでは、まずラフに形状を作成し、幾何拘束と寸法拘束を使って正確な形状にしていく方が早いです。次の手順をお勧めします。

  1. 最初はモデルのサイズ(寸法)を考えずに、ラフに形を作成します。

矩形を3個、ラフに作成
  1. 幾何拘束を使って、形状を整えます。

  2. 寸法拘束を使って、サイズを与えます。

幾何拘束と寸法拘束で、スケッチを完全拘束

Inventorでは、最初に寸法を与えたタイミングで、スケッチ全体がその寸法に合わせて拡大(縮小)されます。なので、寸法拘束は、およその形状が出来上がった後で行う方が効率的です。

必ず、完全拘束する!

スケッチが未完成(寸法が入っていない、幾何拘束がされていない)でも、フィーチャは作成できます。この緩さは、これはこれで、Inventorの特長です。ですが、機械設計においては、仕様の曖昧さがあってはいけないので、スケッチは完全拘束します。

もし、完全拘束されていないとどうなるでしょうあ?
不用意にスケッチが変更される危険が残ります。その結果、モデル形状が意図に反して変更されてしまいます。問題なのは、そうなった時に、原因を探して修正するのが大変になることです。

スケッチが完全拘束されているかを調べる方法は二つあります。
ひとつは、スケッチ編集時に画面の右下に表示される表示です。完全拘束されていないと、必要な寸法拘束の数が表示され、完全拘束されると、「完全拘束」と表示されます。
もう一つは、ブラウザの表示です。完全拘束されると、スケッチのアイコンに押しピンのマークが付きます。

完全拘束ではない場合
完全拘束の場合

完全拘束にできないとき時の対処方法

スケッチの作成・編集時に、どうしても完全拘束に出来なくて悩む場合があります。問題を起こしているスケッチ線などが他のスケッチと重なってしまい、目視では見つけることが出来ないときなどです。これも二つ方法があります。

スケッチドクターを使う

スケッチ編集時に、コンテキストメニューを開き、Sketch Doctor を実行します。スケッチを診断して、レポートしてくれます。

スケッチドクター
スケッチドクター

「スケッチを診断」を実行すると、チェックした診断テストを実行し、結果を返します。問題が見つかった場所がハイライトされるので、多くの場合は、何が原因なのかがわかります。そして、見つかった問題を修正します。

閉じていないスケッチを見つけるのも Sketch Doctor を使います。「見かけ上は接続されているのに、実際は接続されていない。」という事は、誰も経験があると思いますが、解決には Sketch Doctor が便利です。

閉じていないスケッチ(オープンループ)を見つける

完全拘束されても、診断テストに引っかかった項目が残っていることがあります。多くの場合は、そのまま放置しておいてもかまいません。

スケッチドクターについては、オンラインヘルプのSketch Doctor 」を参照ください。

自動寸法及び拘束

これは、未拘束のスケッチに自動的に幾何拘束あるいは寸法拘束を付加する機能です。

自動寸法

「適用」を実行すると、自動的に寸法が追加されます。
多くの場合、これで、隠れていたスケッチが見つかります。その場所を覚えておいて、以下の手順で修正します。

  1. いったん「除去」で追加された寸法を除去します。

  2. 「完了」で自動寸法を終了します。

  3. 覚えておいた場所で、隠れていたスケッチを選択し削除、あるいは編集をします。(窓選択をうまく使うと良いです)

スケッチには名前を付ける

設計の意図が分かるよう、スケッチを命名します。「正面スケッチ」とか「平面スケッチ」とか、自分なりにフォーマットを決めて命名することをお勧めします。
私の場合、スケッチであることを明白にするために、末尾に _SK と入れる様にしています。

スケッチの命名例
完全拘束されているスケッチには押しピンの表示が付く

スケッチを見つける方法

設計が進んだ途中で、ある特定のスケッチを編集したい時があります。アセンブリモデルの構成パーツが多いと、見つけるのが大変です。

ただし、名前が分かっていると、「検索」機能を使うことが出来ます。
スケッチ名の末尾に_SKとつけておけば、「_SK」をキーにして検索することができます。

検索の例

スケッチに限らず、検索の機能はどこでも使えます。そのためにも、命名ルールを決めておくことはとても有用です。

検索については、オンラインヘルプの「検索の詳細」を参照下さい。

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